プーチン大統領、離婚をあえて公表したねらいとは?

 ロシアのウラディミル・プーチン大統領とリュドミラ夫人は6日、30年近く続いた結婚生活に終止符を打つことを明らかにした。国立クレムリン宮殿でバレエ「エスメラルダ」を夫婦で観劇後、記者団から離婚の可能性について聞かれ答えた。
 プーチン大統領は、「私の仕事はとても公的なものだ。」「そういった仕事が好きな人もいるし、そうでない人もいる。しかし、それ以外にもまったく受け入れられない人もいるのだ」と述べた。大統領としての激務が離婚の理由と示唆した。実際夫人は、「プライベートで一緒にいる時間が全くなかった。飛行機であちこち移動することも苦痛だった。」と述べたという。
 ロシア首脳の離婚は非常に稀なことのようだ。
 海外各紙は、ふたりの離婚表明の様子と、ロシア国内での反響を報じている。

【ヴェールに包まれた私生活】
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、リュドミラ夫人は離婚表明について「彼は、秘密にしようと思えばどんなことでも隠すことができる。しかし、彼は自分がひとりの人間であるという事実を明らかにすることを選びました。」と述べたという。
 ただ、実際にはプーチン大統領周辺の個人的な情報はなかなか報じられることがないようだ。例えば、大統領夫婦には20代後半の娘がふたりいるが、どのような人物なのかという情報は全く表に出てこない。
 またプーチン大統領には、元オリンピック新体操金メダリストのアリーナ・カバエワさんとの噂が一部で報じられている。なお2008年には、彼女との結婚を大統領が考えていると報道した地方タブロイド紙が、突然「資金上の問題」で終刊している。

【国民の反応】
 プーチン大統領は現在60歳。3期目の就任から1年が経ち、信用できない政府の有力者を排除し、より忠実な保守派の候補者と組むなど、身の回りの「掃除」を済ませたばかりだという。
 今回の夫婦揃っての離婚表明は、国民に向けたアピールで、大統領の人間的な側面を演出しようとしているのではないか、とニューヨーク・タイムズ紙は憶測している。

 しかし、離婚が報じられたのは、ロシア政府が自国の低い出生率を高めようとの思惑から、伝統的家族の価値を奨励している最中でもあった。ロシアの人口は約1億4300万人で、世界で最も離婚率が高い国のひとつである。ロシア当局の統計によると、2012年には120万人が結婚し64万2000人が離婚したという。

 大統領夫妻の離婚表明については、「人々は今回の決断に心から共感することはないだろう」という意見や、国民の理解を得られるだろうなどと、様々な意見が出ているようだ。

Text by NewSphere 編集部