北朝鮮、2日連続でミサイル発射 米韓揺さぶりか?

 北朝鮮は18~20日にかけて、朝鮮半島東側の沿岸から、海上に向けて短距離ミサイルを発射した。18日に3発、19日に1発、20日に2発だった。ただ、米韓が強く警戒してきた中距離ミサイル(最長到達距離:3500km)ではなく、短距離のミサイル(あるいはロケットのような「発射物」)と見られている。

 ここ数ヶ月間、北朝鮮は、弾道ミサイル発射実験や核実験の敢行により、国際社会と対立してきた。挑発的な姿勢は強まるばかりで、南北融和の象徴ともいうべき開城工業団地も、北朝鮮の一方的な労働者の引き上げによって閉鎖を余儀なくされている。
 しかし、過去1ヶ月は、北朝鮮の攻撃的な姿勢が緩和の兆しを見せ、各国の緊張が和らいでいた。その矢先のミサイル発射だった。しかも、19日の午前中には、韓国政府が前日のミサイル発射を非難したにもかかわらず、4発目が発射されたという。
 海外各紙はそれぞれ、北朝鮮の意図と、発射されたミサイルの危険性について分析した。

【ミサイルの危険性】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これら4発のミサイルには、近隣諸国に対する危険性はないと見ている。
 アナリストは、攻撃準備というよりも、先週の米韓海軍演習への抗議の意図と分析。あるいは、2月の核実験に対する国連制裁により経済的に困窮していた同国が、米国からの交渉提案を期していた可能性があると見ているようだ。
 同紙によれば、むしろ、4月に北朝鮮東海岸に配備された2基のムスダンのほうが、警戒と注目の対象になっていたという。

 一方ニューヨーク・タイムズ紙は、韓国が、国境沿いに集められた短距離ミサイルに対し、首都ソウルへの攻撃を警戒していると報じた。米韓は、北朝鮮による延坪島砲撃事件(2010年 4人死亡)以来、迎撃の整備に力を入れてきたという。実際、日曜には、韓国が西の国境近くの島に配備したイスラエル性のスパイクミサイルの確認を行ったと報じられた。

 CNNは、ソウルに拠点を置く専門家の談を紹介した。同氏は、この種の短距離ミサイルの発射実験は「他国によるものであれば、問題視する必要もなく、核実験やムスダンの発射実験と同視するには値しないと述べている。さらに、韓国側には、開城工業団地に留め置かれたままの原材料や完成品の引き取りなど、北朝鮮を交渉のテーブルに引き出す強い必要性があるため、今回の実験を過度に問題視する可能性は低いと見ているようだ。

【国際社会の見解】
 米国家安全保障会議のヘイデン報道官は、「北朝鮮が威嚇や挑発によって得るものは何もない」と強調。「平和の道を選び、国際的義務を負うべきだという、オバマ大統領の呼びかけに応ずるよう、北朝鮮の上層部に訴え続ける」と述べたという。
 潘基文・国連事務総長も19日、これ以上のミサイル試射をしないよう北朝鮮に求めた模様だ。
 
 今回の発射は、先週、アメリカのグリン・デービス北朝鮮担当特別代表が北朝鮮への対応について話し合うために、東京、北京、韓国を訪れて間もないタイミングで起きた。国際社会が呼びかけるたび、北朝鮮が威嚇と武力の誇示で応えるという繰り返しは、いつ断ち切られるのか。関係各国の苦悩は続く。

Text by NewSphere 編集部