IMF、世界経済成長予測を下方修正 一方日本は上方修正

 国際通貨基金(IMF)は16日、最新の世界経済成長予測を発表した。1月の予測よりも軒並み悪化しており、先進各国が緊縮策をやめるか減速させて、成長重視に転じるよう求めている。
 ただし、安倍政権下で大規模緩和にうって出た日本だけは、先週ラガルド専務理事が「問題のある」グループに分類する発言をしたばかりであるにも関わらず、1月よりも上方修正された。

 2013年の世界経済全体の成長予測は、1月から0.2%ポイント下方修正され、3.3%となった。2014年の予測は4%で据え置かれた。

 成長を牽引するのは中国などの新興国とされるが、中国の2013年成長予測は1月の8.2%から8%に、インドも5.9%から5.7%に、ブラジルも3.5%から3%に、それぞれ下方修正された。中国の2013年第1四半期の成長は実際、年率7.7%に鈍化している。ブルームバーグは新興国の課題について、経済の過剰刺激を避け、資本の流れを管理することだと述べている。

 米国は、景気回復の強さを比較的楽観的されているが、2013年成長予測は1月の2.1%から1.9%に下方修正された。強制支出削減措置が発効したためであり、放置されれば今年の成長率は0.5%ポイント前後損なわれるとみられている。

 ユーロ圏は2013年に0.3%縮小し、2014年は1.1%の成長とされる。1月の0.3%成長予測から0.1%縮小に格下げされたフランスや、1.1%縮小から1.5%縮小に悪化したイタリアが、下方修正に大きく寄与した。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、さらに不安なのは、1.6%縮小予測のスペインなどの低迷国が、いよいよ地域経済全体を圧迫し始めている点だという。IMFのチーフエコノミストであるブランチャード氏は、「ヨーロッパのこのスランプは不安に値します」と語った。
 また同紙は、緩和を求めるIMFや米国に対し、緊縮にこだわる英国やドイツが抵抗していることも伝える。
 一方、フィナンシャル・タイムズ紙は、ユーロ圏の数字は「ほぼ完全に昨年末の悪い数字の結果」というだけであり、IMFは「強い回復が順調に進んでいると楽観的」であるとも報じている。

 日本の成長予測だけは、今年が1月予測の1.2%から1.6%に、2014年が0.7%から1.4%へと引き上げられた。緩和に伴う急速な円安で、各国と摩擦を懸念する声もあるが、IMFは「競争力のある為替レートの切り下げに関する苦情は誇張されがちだ」と日本を援護した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、IMFの評価が安倍政権にとって追い風になると述べている。

Text by NewSphere 編集部