アルゼンチン、未曾有の豪雨で死者多数 天災か?人災か?

アルゼンチン、未曾有の豪雨で死者多数 天災か?人災か? アルゼンチンの首都ブエノスアイレス周辺が、1日の夜から降り続けた大雨のため、洪水などにより甚大な被害を被った。海外紙の報道によれば、50人以上の死者が出た模様。この豪雨は、ここ約1世紀の間でアルゼンチン最大のものとみられている。
 海外各紙は、被害の責任をめぐる政争や経済への影響を報じている。

【天災か?人災か?】
 50人以上の犠牲者、被害の甚大さから、その責任を巡って政治家どうしが非難の応酬を始めたことを、フィナンシャル・タイムズ紙は伝えている。同紙によれば、ブエノスアイレス市のマクリ市長は、政府が将来の防災のための資金調達をせず、重要なインフラである地下水路の整備を怠ったために、被害が大きくなったとして、フェルナンデス大統領を批判したという。
 一方、連邦計画相のデビード氏は、マクリ市長は嵐が来ることを事前に認識していたにも関わらず、その対応に失敗したと非難していることを、ニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
 なおマクリ市長は、2015年の次期大統領選挙に立候補すると言われており、フェルナンデス大統領はその政敵と言えるようだ。

【経済活動への影響は?】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、アルゼンチン国営石油会社YPFは、豪雨により発生した火災のため、ラ・プラータ市にある製油所の操業を停止した。この製油所はアルゼンチン国内の約30%もの石油を生産するという。なおYPFの広報は、被害と損失の規模はいまだはっきりしないとコメントしている。
 同紙はまた、大雨とその被害を受けた交通事情のため、外貨獲得源である大豆の収穫が遅れそうだと報じている。アルゼンチンは、大豆の輸出量で世界第三位、大豆油と大豆食品の輸出に関しては第一位の国だ。

 気象庁によると、日本時間4日17時時点で、ブエノスアイレス周辺の雨はやんでいるようだ。ただ、ブエノスアイレス州のシオリ知事は、死者数はまだ増える可能性はあるとコメントしている。

Text by NewSphere 編集部