BRICS開発銀行合意 海外紙が先行き不透明と報じる理由とは

BRICS開発銀行合意 海外紙が先行き不透明と報じる理由とは 26日~27日、南アフリカ・ダーバンでBRICS(ブラジル・露・印・中・南ア)新興5ヶ国サミットが開かれた。BRIC(S)はもともと、経済生産の合計で2020年に米国に追いつくと見られていた、南アを除く4ヶ国を指す造語。現在、5ヶ国で世界人口の43%を占め、域内貿易額は2002年からの10年で10倍以上になっている。
 BRICS諸国は27日までに、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などに対抗する独自の開発銀行設立で合意。新興国ではIMFや世界銀行は先進国の意向に牛耳られているとの不満が強く、新興国による、新興国・途上国のインフラ開発などのための開発銀行を求めたものである。 だが5年がかりの交渉に一応の成果が出たとは言えるものの、具体的詳細は詰め切れておらず、各紙は先行きを不安視している。

 まずは出資比率の問題がある。サミットでは各国100億ドルずつ、合計500億ドルの資本金とする案もあったが、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(香港)は、そのような「雑魚」では国際市場で相手にされないと断じる。100億ドルでも南アフリカには支払い困難な額とされるが、かといってGDP比など、経済力に応じた配分にすれば、中国の独占機関と化してしまうことは明らかだという。結局サミットでは、資本1000億ドルという点のみ決定したようだ。また同紙は、途上国向けに融資条件を甘くすればモラルハザードの温床となり、かといってIMFや世界銀行に倣えば、銀行の存在意義がなくなると指摘する。同紙は冒頭から「ちぐはぐな指導者たちが発表した、思いあがった構想」と手厳しい。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、BRICS諸国が銀行の本拠所在地さえ合意できていないことを報じた。そして各国の政治体制の違いや、中・露・印での国境線あるいは地域影響力をめぐる紛争、IMF理事選で統一候補を擁立することさえできなかった点も指摘する。同紙はサミットの政治的意義に一定の評価はしつつも、「BRICS銀行を作れるならそれでよし。作れないなら、計画が政治的な恥になる前に、彼らは手を引く必要がある」とまとめた。

Text by NewSphere 編集部