ケニア大統領決定 それでも懸念が残る理由とは?

 4日のケニア大統領選の開票作業がようやく終了し、ウフル・ケニヤッタ副首相が得票率50.07%で当選した。ライラ・オディンガ首相は43.31%で敗れた。ケニヤッタ氏の得票がぎりぎり50%を上回ったため、決選投票は行われない。

 この選挙は投票の複雑さから無効票が続出。「50%」の母数にその無効票も加えると選挙管理委員会が開票中に表明したため、問題になった(今回、各紙とも無効票の顛末については触れていない)。また電子的集計システムがダウンし、手作業での集計となったため、結果発表が遅れることとなった。
 選挙管理委員会の不手際に、不正を疑う声も根強く、オディンガ陣営はケニア最高裁に訴える意向だという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によるとその場合、再選挙等の裁定が下るには合計3週間ほどかかる見通しである。また同紙は、投票率が86%と高かったこともあって投票所が有権者をさばききれず、飲まず食わずで10時間行列を待たされたとして、再選挙を望まない有権者の声も伝える。

 2007年12月の前回大統領選では不正投票の訴えが暴動に発展し、1000人以上が死亡した。ケニヤッタ氏や、同氏の副大統領候補ウィリアム・ルト氏らは、このとき暗殺隊を展開したとして国際刑事裁判所に訴追されている。オディンガ氏は支持者に冷静を訴えており、今のところ大きな騒乱は起きていないが、ニューヨーク・タイムズ紙はオディンガ氏の地盤が緊張した状態であると伝えている。

 開票過程への疑問にも関わらず、欧米各国は「選挙が平和裏に完了したことを」祝福する声明を出した。しかし「ケニヤッタ大統領の就任」を祝福する文言は含まれず、各紙は西側各国が、前述のような背景のあるケニヤッタ氏の大統領就任を快く思ってはいないと強調する。フィナンシャル・タイムズ紙やニューヨーク・タイムズ紙は、選挙期間中からの外国圧力が、かえってケニヤッタ氏の支持者を団結させた可能性を指摘した。
 またケニヤッタ氏の裁判は7月に始まるため、早くも大統領の職務に支障が出る心配もあるという。

Text by NewSphere 編集部