北朝鮮、核実験強行の影響とは?海外紙が分析

 12日、北朝鮮は朝鮮中央通信を通じて「地下核実験の成功」を発表した。北朝鮮の核実験は3回目で、金正恩体制下では初めて。北朝鮮は爆弾の小型化・軽量化を発表しており、12月に行ったミサイル発射実験と合わせ、核弾頭として搭載する可能性を周辺国は強く懸念している。
 国連安保理は同日、緊急会合を行い、全会一致の声明として、「安保理決議の重大な違反」に対する「強い非難」と、「適切な措置策定」の検討を表明した。ただし、制裁の強化や新制裁を求める米などや、金融制裁強化などの独自制裁を検討している日本と、各国の冷静な対応を求める中露では明らかに温度差があるという。

 今回の核実験の成功が、国際社会にとってどれほどの脅威なのかを決するのは、以下の3点だと報じられている。

 第1に、「小型化と威力」。長距離ミサイルへの装着可能性については疑問視する専門家が多いものの、アメリカにとってはイラクを上回る「重大な脅威」として浮上したとの見方が強いようだ。威力については、他の核保有国のレベルには遠いものの、以前よりは着実に増している模様だと報じられている。

 第2に、プルトニウム型か高濃縮ウラン型か。北朝鮮が保有するプルトニウム量は少ないが、高濃縮ウラン型の開発に成功しているとすれば、天然ウランが豊富に埋蔵されている同国では、大量の核兵器の備蓄が可能になるとみられる。

 第3に、北朝鮮、イラン、パキスタンなど、国際世論に反して核開発を進めている各国間の情報交換の程度。今回の「小型化成功」についても、パキスタンからの設計技術の流入による急速な発展の可能性が囁かれており、さらに、イランへの技術提供が懸念されている模様だ。

 これらについて、アメリカをはじめ各国は解析を急いでいるという。

 他国の権力移譲時期に合わせて強硬策を取り、国威の発揚を図るとともに、外交の足がかりにするのは北朝鮮の常套手段だ。今回は特に、第2期オバマ政権のスタート、韓国の大統領交代、中国の権力移譲、日本の政権交代と、北朝鮮にとってはこの上もない条件が揃ったとする識者も多い。
 決行日についても、オバマ大統領の一般教書演説に合わせたという見方が濃厚だという。オバマ大統領は、ロシアとの核兵器削減について演説に盛り込む準備を進めていたが、北朝鮮の核実験によって回避を余儀なくされたという報道もある。大幅な支出削減が見込まれた核兵器削減の実施についても、共和党からの反発が激化すると見られている。また、対北融和姿勢だった韓国の朴次期大統領も、政策の見直しなど難しいかじ取りを迫られる模様だと報じられている。

 各国からの厳しい制裁により、国民への「よりよい生活」という約束を果たす見込みのない金総書記だが、北朝鮮筋によれば、制裁は「まったく恐れていない」という。2006年、2009年の核実験実施時にも、一時的な制裁強化の数ヶ月後にはアメリカが対話のカードを切った経緯があり、武力の誇示によって優位に立てるという発想は変わらないようだ。しかしこの点について、アメリカ側も、「同じ餌はやらない」心づもりだとされる。
 
 結局、北朝鮮の今後を占うのは、最大の援助国、貿易相手国である中国だとみられる。今回、北朝鮮は中国の「制止」を振り切って核実験を敢行した。「北朝鮮はいかなる大国のくびきにもつながれない」との声明によって中国への反発を露わにしたともされる。核実験に対し中国は「強い非難」を表明しているが、その一方で、安保理では制裁強化を求める各国を牽制してもいる。今後、中国が北朝鮮に対してどのようなカードを切るかが注目されるという。

Text by NewSphere 編集部