どうなる英国のEU脱退投票

どうなる英国のEU脱退投票
 キャメロン英首相は23日、2015年に行われる次の総選挙で与党が勝利した場合、英国がEUを脱退するかとどまるかを問う国民投票を実施すると表明した。

【各国首脳の反応】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、各国首脳が一斉にこれを自分勝手と批判したことを伝えた。例えばフランスのファビウス外相は、「[サッカー]クラブに入会して、ラグビーをプレーしたいとは言えません」と述べ、また、「英国がヨーロッパを去るおつもりなら、赤じゅうたんを敷いて歓迎いたしますよ」と発言。昨年キャメロン首相が、フランスの高い税制を逃れてやってくるフランス企業に「赤じゅうたんを敷いて歓迎します」と発言したことへの皮肉な返しだ。ドイツのメルケル首相は、英国の希望について「集中的に」話し合う用意があると軟化姿勢を見せた。比較的肯定的であったのはオランダ与党自由党のベルヘイエン氏で、「我々は、ヨーロッパを中核業務だけに限定したいと思っています。彼は一気に議論を白熱させました」と述べた。

 なお、ユーロ危機が一段落したことで、英国に限らず欧州各国はみな自国の内部に関心が移ってしまったとニューヨーク・タイムズ紙は論じた。例えばフランスはマリに軍事介入して国内の支持を集めようとし、ドイツは9月の総選挙の話題で持ち切りであり、ユーロに加盟を望んでいたはずのポーランドやラトビアでは、急速にその関心が薄れているという。

【英国産業界の反応】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、EUの規制による制約を脱したいことには同意するが英国は何としても単一市場内に留まるべきだとの、英産業界の声を伝えた。英国はEUの3番目に大きい経済大国であり、EUは同国最大の貿易相手国で、英国の輸出の約半分を占める。さらに関税が概ね掛からないことは大きなメリットである。同紙は英国の酪農業者を例にとって、英国からドイツにチーズを出荷することは、道路の先へそれを運ぶ程度の困難でしかないと表現した。

 また、市場にとって国民投票はまだ先、しかもキャメロン首相が2015年の選挙で再選されればの話であり、首相の公約を受けての市場の値動きは少なかったと報じた。

Text by NewSphere 編集部