オバマ大統領、銃規制強化実現の突破口とは

オバマ大統領、銃規制強化実現の突破口とは 先月コネティカット州で起きた小学校での銃乱射事件を受け、オバマ大統領は16日、包括的な銃規制強化案を発表した。強化案は「攻撃用銃器の販売禁止」「高容量弾倉の禁止」「銃購入者への身元調査の強化」の3つを主要な柱としている。そのほか、オバマ大統領は、既存の銃規制法を強化することなどを定めた23の大統領令に署名した。
 ホワイトハウスでの発表イベントでは、オバマ大統領に銃規制の必要性を訴えた手紙を出した4人の子供が同席し、会場には銃乱射事件の遺族の姿もあった。
 海外各紙は、これらの銃規制の取り組みは銃支持派の強い反対を招くとし、議会で可決するのはかなり困難だとみている。

【反対派の動向】
 今回のオバマ大統領の強化案は、銃規制に反対する有力ロビー団体、全米ライフル協会(NRA)の反発は避けられない。NRAは15日、武器を用いて自身の娘を警護している大統領を「特権意識に満ちた偽善者」と批判するテレビ広告を流した。ホワイトハウスはこの広告を「不快で卑劣だ」と非難した。
 また、NRAの支持を受けている議員の多い共和党では、銃の保有を認めた憲法修正第2条を引き合いに出し、銃規制強化に反対する声が強いという。

【突破口は?】
 しかし、ホワイトハウスが最優先事項とする「身元調査の強化」について、一部の共和党議員は賛成しているという。そこで上院民主党議員指導者らは、より多くの共和党議員の支持を得て、銃を持つ権利を擁護する民主党中道派を賛成させたい考えだと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
 なおニューヨーク・タイムズ紙によると、身元調査は現在約4割の取引で不十分だという。また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、銃犯罪者の約8割は、ガン・ショーなどで身元調査の不要な個人売買で購入しているという。

 今回の強化案の発表では、オバマ大統領の次のステップは不明だったとウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘した。しかし、サンデイ・フック事件のたった33日後という迅速さは、2期目のオバマ政権の決断力が高まったことをあらわすとフィナンシャル・タイムズ紙は評価した。

Text by NewSphere 編集部