チャベス大統領死亡説も・・・ベネズエラの未来は?

チャベス大統領死亡説も・・・ベネズエラの未来は? ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が、10日の議会宣誓式への出席を危ぶまれている。10月の選挙で再選されたチャベス大統領は、4度目の癌手術のためキューバで入院中である、大統領は1ヶ月にわたり国民の前に姿も声も現わしておらず、政府は「重篤な呼吸器感染症」で「デリケートな」容体にある、あるいは容体は「穏やかで安定している」とも発表している。癌の種類さえも含め公式情報が不足しているため、死亡説も含め、噂が飛び交っている状態だ。

 大統領が議会宣誓を行うことは憲法で定められている。野党は、それができないことは執務不能を意味するのであり、暫定大統領(議会のカベーリョ議長が有力視されている)を立てたうえで30日以内に再選挙を行わなければならないはずだと主張している。一方、マドゥーロ副大統領(大統領自ら指名した後継者)は、野党の主張を「制度的クーデター」と批判、大統領は職務を継続すると反論している。また宣誓は形式的なものであって延期も可能であり、「宣誓の方式については最高裁判所が解決してくれます」とした。ただし最高裁判所は完全に大統領派に牛耳られているとの意見もある。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、独裁的・カリスマ的なチャベス大統領なしでは大統領が率いてきた「ボリバル革命」運動はまとまらないとの懸念を伝えた。一方、大統領なしでも、一派の選挙力は強大だと指摘している。ただ、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、大統領選挙になれば、マドゥーロ副大統領は野党候補エンリケ・カプリレス氏に負けると予測している。同紙は副大統領の人物像について、高卒の元バス運転手であり、愛想はよいが控えめで、大統領のような能動的なカリスマ性に欠け、サイババを信仰する神秘主義者と紹介した。副大統領は実績よりも大統領への忠誠を特徴とする人物で、国民は彼のことが良く判っていないという。

 またフィナンシャル・タイムズ紙は、誰が後継者になっても国の舵取りは難題だとした。大統領は過去10年以上バラマキ的政策を続けてきたが、「この種の支出主導社会主義は長続きしない」と批判されている。経済は10年前に比べ10倍以上の債務と、GDPの約20%の財政赤字を抱え、インフレ率は18%と世界最高の部類である。通貨は大幅に過大評価されていると考えられ、国が収益を大きく依存する石油業界は、不安定な生産と経営の不手際に苦しみ、動揺しているという。

Text by NewSphere 編集部