米国の銃規制はなぜ進まないのか?

 コネチカット州ニュータウンの小学校で起きた銃乱射事件を受けて、オバマ政権が銃規制に向けて委員会を発足させる中、全米ライフル協会(NRA)は、あらゆる規制に反対する立場を鮮明にした。同協会は、すべての学校に武装した警備員を配置するという提案を行なっている。

 海外紙は、銃規制を阻害する驚きの原因について報じている。

◆銃規制への国民の支持
 まず背景として、米国民の銃規制を支持する割合については、各紙で異なる数値が挙げられている。フィナンシャル・タイムズ紙は、CNN/ORCの世論調査を挙げ、かろうじて過半数を上回る人々が銃規制に賛成していると報じている。一方、ニューヨーク・タイムズ紙は、憲法修正第2条(個人が銃器を所持する権利を認めている)を支持する人たちが圧倒的過半数であるというウェイン・ラピエール氏の主張を掲載している。

◆かみ合わない議論
 銃規制が凶悪犯罪を減らすことになるのか否かという議論については、ニューヨーク・タイムズ紙が、水掛け論の様相を報じている。すなわち、ウェイン・ラピエール氏によると、「自分は犯罪が減るとは思わないと言い続け、あなた(テレビ番組の司会者に対して)はそれを受け入れないだけだ。まったく、議論にならない」ということになる。

◆ライフル協会のロビー活動
 一方ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、そもそも、銃規制と犯罪減少の因果関係を立証するにはデータが不足しているということを大きくクローズアップしている。これは、賛成派、反対派の両陣営から指摘されていることだという。ただし同紙はさらに踏み込んで、データが不足している原因についても詳報している。それによると、米疾病予防対策センター(CDC)が調査に必要とする資金を得られなくなったことが一因であるという。しかも、それは全米ライフル協会のロビー活動によるというのだ。事実、CDCは1996年以降、銃に関する調査をほとんど中止した。その年、議会によって予算を260億円削られたからだ。これは、前年におけるCDCの銃調査費用とまったく同じ額であったという。

 なお、フィナンシャル・タイムズ紙は、ウェイン・ラピエール氏が提起した武装警備員の配置案に関して、1999年のコロラド州コロンバイン高校銃乱射事件時にも2名の武装警備員がいたとの批判が出ていると報じている。同事件では、2名の襲撃者によって15人が犠牲となっていた。

Text by NewSphere 編集部