小学校銃乱射事件を受け、米国は変われるのか?

小学校銃乱射事件を受け、米国は変われるのか? 米コネチカット州の小学校で26人の命が奪われた銃乱射事件を受け、再発防止に向けた銃規制に関する議論がヒートアップしている。個人による銃の所有についての意見が賛否両論に分かれる米国では、これまでも同様の事件が起きるたびに国を挙げて論争が繰り広げられてきたものの、大きな対策が取られることなく脇に追いやられてきた。オバマ大統領は、就任後4度目となる銃乱射事件に対し、繰り返される悲劇を終わらせるべく「意義のある行動をとる」とし、新たな銃規制の導入を示唆した。
 海外メディアは、対策案や国内の対立など、米社会に根深くはびこる銃問題の複雑さを取り上げている。

【メンタルヘルスに着目した銃規制】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、こうした悲劇は攻撃用武器禁止法などの規制だけでは防げないと述べ、メンタルヘルスに関わる政策についても追求されるべきと報じている。ビデオゲームや映画などにおける暴力の制限から、精神疾患を抱える人々に対する社会的サポートの拡充まで幅広い点で議論が繰り広げられている。政府はこれまでも国の認可を受けた銃砲店に対して犯罪歴や精神衛生に関する身元確認を義務付けてきた。しかし、 見本市や個人販売者などへは義務が及んでいない点や、情報源となるFBIのデータベースに穴がある点、各州ごとに法律が異なる点などが問題視されているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。今後は、 全ての販売者への身元確認の義務付けや、データベース強化の予算拡大、代理購入者への罰則強化などによって潜在的な危険人物へ銃が渡らないような対策が求められている。

【国内の対立】
 事件のショックを受け、銃規制を求める声が高まっているものの、国内では依然として規制反対派の勢力が強く存在している。保守派の野党・共和党からは「銃による攻撃を防ぐためには自ら銃を持つべき」と主張し、今回の事件でも校長が銃を保持していれば犯人を殺し被害を抑えられただろうと語る議員もいるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。また、民主党議員の中にも規制反対派が存在しており、規制に関する明確な態度は選挙に不利だとされていることもあって、これまでは問題が曖昧にされてきたという。

 しかし、米国では3期連続の大統領就任が禁じられているため、2期目を迎えたオバマ氏は次期選挙のことを懸念する必要はない。年末に向けて迫られる「財政の崖」回避策と並んで銃規制へどう踏み出すかが注目される。

Text by NewSphere 編集部