中国経済、習近平体制で成長か?停滞か?

中国経済、習近平体制で成長か?停滞か? 10日、10年に一度の権力移譲の党大会を経た中国の11月度貿易統計が発表された。輸出入とも市場予想を下回る鈍化を示し、黒字幅も予想に届かず、世界的な不景気という逆風に、足を取られていることが明らかとなった。
 今後10年、中国を率いる新リーダーの習近平氏は、今後の中国をどう舵取りしていくのか。海外各紙はそれぞれの視点から、今や世界第二の経済大国となった中国の将来を占った。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、中国経済の現状を詳しく報じた上で、今後も成長を続けていくためには内需の拡大が必須とした。すでに内需がGDPの90%に達しているという楽観的な数字もあるが、国内のインフラ整備によるテコ入れに大きく依るもので、一層の推進が求められるのは確実だという。

 では、内需の拡大と経済の活性化は実現できるのか。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は習氏の経済政策に注目。国家主席就任後最初の国内の訪問先に、トウ小平氏の経済改革開放路線の急先鋒として、経済特区に指定された深センを選んだことを、改革開放推進姿勢の踏襲を示唆するものとした。習主席は、「改革開放という党の方針は正しかった。中国は今後も、この正道を往かなければならない」と述べ、トウ氏の銅像に献花したという。
 ただし、専門家の談によれば、トウ小平氏の「改革開放」は、結果として、国営企業の専横や上層部の汚職を招き、失敗に終わった。これらに対する民衆の不満が募る現在、同紙は、マイクロバスを利用し、周囲と交わる習氏が、「庶民派リーダー」や「新生共産党」のイメージ作りをしていると分析。中国版ツイッターで、中国共産党中央政治局が今月4日の会議で決めた「仕事のやり方を改善し、民衆に密接に接する」という規定を守っている、と好意的に評価されたことを伝えた。また、汚職の撤廃についても、習氏の「本腰」の現れと見られる摘発の進展と、担当する王岐山氏の、積極的な、開かれた解決姿勢を報じ、「新共産党」の今後への期待感を示唆した。
 
 では、習氏率いる「新共産党」が目指す「新中国」とはいかなるものか。ニューヨーク・タイムズ紙は11月29日、習氏が演説で「国家の再興」を目指す「チャイニーズ・ドリーム」について言及したことを、ナショナリスト的傾向と分析。アヘン戦争以前の清の、「外国の干渉を寄せ付けない強国」を取り戻す姿勢を明らかにすることに、公教育やメディアによって培われる「外国嫌い」という中国人の底流に訴え、すでに共産主義のイデオロギーに魅力を感じない人心を掌握する目的があるとした。同時に、強大な軍事力の掌握と強権的な外交政策に打って出る気配が濃厚で、すでに軍を訪問し、「国家の再興に必須の存在」と鼓舞したことも伝えられた。

 改革開放路線実現の具体的施策は?強国の復興というイデオロギーは国内をまとめるレトリックか、国外にとっての脅威か。未だ不透明な中、中国の今後が注目される。

Text by NewSphere 編集部