米議会「財政の崖」回避交渉の行方―海外各紙は、民主・共和両党の休会明けの動きに注目―

 来年初めに減税措置の失効と歳出の自動削減開始が重なる「財政の崖」を避けるための対策で、民主党と共和党が対立している。16日にオバマ大統領と与野党の議会幹部らの会談が行われたが、感謝祭中は議会が休会だったため、大きな進展はみられない。休暇の終わった今週から本格化するとみられる両党の真っ向対決、果たしてその行方は。
 海外各紙は、両党の主張の相違点や州への影響、先週から始まった各団体の広告キャンペーンについて報じた。

 富裕層増税を主張する民主党と、社会保障の見直しを求める共和党はお互いに譲歩の姿勢も見せているものの、妥協点は決まっていない。ベイナー下院議長の側近は25日、「共和党が税制改革による追加歳入を支持するには、給付金制度改革と一緒が条件だ」とフィナンシャル・タイムズ紙に述べた。民主党は「給付金の歳出は交渉するべき」としているが、共和党の要求どおりには受け入れないと同紙は見ている。
 両党がせめぎ合う中、ニューヨーク・タイムズ紙は連邦政府と州の公式な話し合いの必要性を指摘した。自動削減は州の一部の分野に負担がかかる。ピューセンターの調査によると、 州に流れる連邦補助金の約18%は、教育、公共住宅、低所得の女性や子供の栄養プログラムなど、包括的な削減となる可能性がある。しかし一部の州知事は、地方債の免税がなくなるなど、さらに大きな州の削減につながることを心配している。

 一方で、さまざまな利益団体が財政の崖について広告キャンペーンを開始した。例えばToo Small To Fail(アメリカの子供たちを守る国民運動)は、教育と子供たちの保健計画の削減を避けることを主張し、AARP(シニアロビー団体)はメディケアと社会保障を変えるよう提案するなど、それぞれの立場で広告を展開している。事業団体グループの広告は、給付金制度の根本的な構造改革をすぐに始めることを求めている。オバマ大統領の政治組織までも今週、「富裕層増税と歳出削減の組み合わせ」を広めるよう支持者に呼びかけ、ソーシャルメディアを通じて共有されるためグラフィカルな説明を公表した。

Text by NewSphere 編集部