シリア情勢沈静化なるか、国家再建はいかに

 国内各地で激しい反政府運動が繰り返されているシリアにて、少しづつではあるが情勢の沈静化に向けた兆しが見え始めている。反政府派の統一組織「シリア国民連合」が国内外からの支持を集めていることで、まとまりが生まれてきている。海外各紙は国家再建に向けての具体的な動きに続く国内外の動きを追っている。

【新政権の誕生なるか】
 国内からの支持を集めているシリア国民連合は、近隣の湾岸協力会議の6カ国(アラブ首長国連邦・バーレーン・クウェート・オマーン・カタール・サウジアラビア)の他にもトルコやフランス、英国からも承認されてきている。ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、英国は同連合を国民を代表する唯一の組織として20日に承認を発表し、今後は罪のない国民たちを救うための政治的・外交的な解決策が見いだせる限り彼らを支援していく意向だ。支持を表明している各国からは反アサド政権誕生への期待が寄せられている。しかし、一方で支援はあくまでも情勢の改善が見込まれることを前提としており、実際には未だに各地で相次ぐ衝突や武器などの略奪行為への不安は拭えない。先日も国民連合へ反対するイスラム過激派が反発動画をインターネットに投稿するなどして波紋をよんでいる。
 また、トルコも飛び火してくる脅威に備えることを目的として、北大西洋条約機構(NATO)に対し国境周辺の防衛強化を図る地対空ミサイルシステム「パトリオット」の配備を要請している。

【国家再建への道のりは】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、シリア国民評議会のジョージ・サブラ議長は、新政権が誕生した際には、諸外国からの国の再建費として600億ドルの援助が必要だと述べている。特に、新政権誕生から半年で主要都市ホムスやアレッポの再建を目指し、500万人を越える避難国民への支援などを掲げている。だが金額は妥当であるが、目標期間が短すぎるのではとの指摘も海外から出ているようだ。また、諸外国へ向けての支援金の要請の他にも、戦地となった各地への投資誘致も積極的に行っていると報じられた。ドバイで行われた投資カンファレンスでは、日本を含む国内外のビジネスマンから総額50億ドルの投資を見込む手応えがあったという。

 シリアは農業、商工業、鉱業ともに偏りがなくバランスが取れており、石油資源にも恵まれている。情勢安定を待って投資機会を狙っている国も多いと考えられる。

Text by NewSphere 編集部