アフリカ・コンゴ民主共和国の内戦激化

 11月に入り、コンゴ民主共和国の紛争が激化している。19日には反政府武装勢力「M23」との直接交渉を政府が拒否したことから、鉱業で栄える東部の主要都市ゴマが侵攻された。政府軍や住民は続々と避難しており、治安悪化が懸念されている。国連安全保障理事会は戦闘停止を求めているが、事態が鎮静する様子はなく、非常に緊迫した状況になっている。
 海外各紙は周辺国のルワンダなどからの影響にも目を向けながら、膨れ上がる争いの様子を取り上げている。

【紛争の背景】
 コンゴは1960年にベルギーから独立して以来、紛争を繰り返している。1990年代後半、多数派であるフツ族主体の政府が、少数派のツチ族系の人々を追放し、ルワンダなどの周辺国へ避難した彼らを大虐殺したことが引き金となっている。2009年には、コンゴに残ったツチ族系組織が国軍に編入されたものの、結局はM23(3月23日運動)として離反した。
 このように、紛争は民族問題を起因としているが、他にも地域における安全保障上の対立や、豊富な鉱物の採掘権などの要因が複雑に絡み合っていると指摘されている。ルワンダは「M23」の支援を否認しているが、コンゴ政府はフィナンシャル・タイムズ紙に対して「争いの相手はM23の黒幕であるルワンダだ」と述べ、「M23」からの交渉要請には応えずにルワンダとの話し合いを求めている。こうした状況を予測していなかったゴマは混乱に陥り、強盗の多発など治安の悪化がみられると各紙は報道している。

【日本への影響】
 コンゴ紛争は大規模な紛争にも関わらず、日本ではあまり報道されていない。しかし、電子産業が活発な日本にとって、鉱業資源が豊富な同国の情勢は無関係とは言えない。直接輸入ではないものの、タンタルやコバルトなど我が国の産業に使われている鉱業原料の多くがコンゴで多く生産されているからだ。今年8月には米国証券取引委員会(SEC)がドッド・フランク法において「紛争鉱物に関する規則」を策定し、タンタルなどの紛争鉱物を製造に使用する場合は公開・報告することを義務つけた。これにより、コンゴ内の武装集団への資金源を断ち、紛争の鎮火を目的としている。

 なお、ニューヨーク・タイムズ紙によると、コンゴ政府はルワンダの介入に反発して「まだ戦争宣言はしていないが、準備はできている」と語っている。 紛争が長引くことになれば、日本への鉱物の流れも滞り、製造業への打撃も免れないだろう。

Text by NewSphere 編集部