ギリシャ救済金支給の見込み高まる―徳政令は否定、強調される緊縮財政―

ギリシャ 20日のギリシャ救済に関するEU財務相会談では、440億ユーロ(約4.4兆円)の援助金支払いについて合意される見込みがじわじわと高まっている。

 ここで救済金を渡したとして、ギリシャが現在約束している緊縮政策によって債務をコントロール可能なレベルまで(いつまでに)削減できるかについては、EU各国と国際通貨基金(IMF)の間で意見が分かれていた。
 
 フィナンシャル・タイムズ紙は、ドイツのショイブレ財務相が、IMFがオプションとして示唆しているようにアテネに公的ローンの債務免除を与えることは「違法」であろうと明言し、またドイツ当局は未払い債権の放棄や割引買い戻しによって評価損を確定させるという案についてコメントを控えた、と報じている。一方IMFについても、返済の確証のない融資はしないと強調していることを報じた。それでもドイツ与党が21日朝にギリシャ救済についての緊急会議を予定していることは、20日夜に議会合意が成立する自信の表れだと解説している。

 これに対しギリシャの側も、議会承認を必要としない「法令」によってさらなる緊縮のひと押しを見せつけ、救済金支給を確実化しようとしている、とニューヨーク・タイムズ紙は報じた。具体的には各省庁への財政目標義務化と財務省による監督強化や、議会職員の給与・年金削減カットである。また、国有資産の民営化で調達した資金をギリシャ中央銀行が保有するエスクロー(信託)口座に直接入金し、債務の返済に邁進させることや、2000人の公務員緊急解雇およびそれに反対する座り込み運動についても触れている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米国の「財政の崖」が解消される見込みが高まったことや米国での住宅販売が予想以上に好調なことから、米ドルが避難先需要を失って値下がりし、相対的に他通貨の価値が上がったと報じた。それに加えてユーロは、ギリシャ救済の見込みが高まったことで、対ドルで過去2週間の最強水準に達しているという。

Text by NewSphere 編集部