ヨーロッパで広域ゼネスト―緊縮政策への抗議、効果は疑問も―

20121116_strike 14日、ヨーロッパ各地で、経済危機を受けての緊縮政策に抗議するゼネストが行われた。

 特に活発だったのはスペインとポルトガルで、航空や鉄道などの交通に混乱が生じ、工場や病院なども操業停止、ないしは少人数による限定的な操業となった。一部で警官隊との武力衝突も発生し、14日昼の時点ですでに警官も含め数十人規模以上の負傷者や逮捕者が出ている模様である。他にイタリア、ギリシャ、フランス、ベルギーなどでも、小規模な同情ストを含め、抗議行動が発生している。ニューヨーク・タイムズ紙によると、スペインの二大労組のひとつコミシオネス・オブレラスは、大陸を越えて協調した行動は、「欧州連合の動きの中でも歴史的瞬間に」値すると評したという。また、5つの組合が共同声明で、「ヨーロッパを景気低迷・後退に急落させる、これら緊縮政策への強い反対」を表明し、「欧州社会モデルを脅かす」と述べている。

 しかし、ストの効果については疑問視する意見も根強い。フィナンシャル・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙は、デモ隊の動向を見ながら店を開けたがる商店主も多い実態を伝えている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回のストには参加していない組合も多いこと、労働組合の組織率が下がっていること、労働者側も生活のためにストより商売を必要としていること、「緊縮策を取る以外に方法がない」とする政府の主張がある程度納得されていることなどを挙げた。実際、近年のストが政府方針に影響した事例は少ないとも指摘している。同紙は、ストが効力を発揮するのは、経済自体が堅調で利益の分配方法に問題がある場合に限られる、との意見を伝えている。

Text by NewSphere 編集部