ロムニーが大統領になれなかったワケ

 アメリカ大統領選はオバマ大統領の再選という形で幕を閉じた。終盤は接戦が伝えられていたものの、結果的には激戦州の多くをオバマ氏が制し、ロムニー氏は敗れた。激しい選挙活動を終えた今、ロムニー氏の敗因と今後の動向を、海外各紙の報道から探る。

【敗因1:イメージ戦略の失敗】
 ロムニー氏が鍵となる投票者層から支持を得られなかったことが敗因、とニューヨーク・タイムズやフィナンシャル・タイムズは指摘した。GMの苦境に対し、公的資金導入に反対し倒産すべきと2008年に主張していたことで、オハイオ州をはじめ自動車産業等の労働者の支持を失ったとされる。クローズドな会合で、いわゆる「47%」の国民を気にしないかのような「失言」は、金持ちイメージとあいまって、低所得者層の反発を招いたと指摘された。他にも、中絶に関して厳しい立場であることが女性の支持拡大に繋がらず、不法移民への強硬な姿勢のためヒスパニック層の支持か伸び悩んだことも指摘されている。

【敗因2:資金難】
 ウォール・ストリート・ジャーナルはロムニー氏の選挙資金が十分でなかったことを指摘した。ビジネスで成功していたロムニー氏にとっても、長期の選挙戦は厳しい戦いであったとされる。選挙期間中、数十社の大企業経営陣に献金を依頼していたという。オバマ氏側のロムニー氏を攻撃する広告で、彼が冷酷な人物として描かれ、ロムニー氏の真の姿を市民に伝えることができなかったことが敗因だと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。

【ロムニー氏の今後】
 ニューヨーク・タイムズは、今後のロムニー氏の活動内容についての予測を報じている。過去に2冊の本を出版しているロムニー氏だが、この選挙戦の様子などを執筆する可能性は高いと報じている。政治活動の継続という予測の他には、モルモン教徒としての活動への専念、ビジネスの世界への復帰などが取り沙汰されている。

Text by NewSphere 編集部