ギリシャ、緊縮法案めぐり紛糾―暴動の再来か―

ギリシャ 7日にギリシャ議会で採決される緊縮財政法案、11日採決予定の来年度予算案をめぐって、ギリシャが揺れている。この緊縮法案は、EUからの資金援助や債務免除等を受ける代わりに要求されているもので、公務員の削減・定年引き上げ・各種ボーナスのカットや、年金の減額、公共交通機関の値上げ、労働法の改正など、今後4年間で230億ドル(約1.8兆円)の緊縮を目指すものである。法案が成立せず救済が受けられなくなると、ギリシャは国債の償還期限を乗り切れず、11月16日にも国庫が底をつくおそれがある。

 しかしこの緊縮策は、失業率がすでに25%に達するなど厳しい経済を、一層冷え込ませると国民は強く反発している。6日から48時間の大規模ゼネストが行われ、銀行や病院、交通を含む首都機能はマヒ。暴動の再来にさえつながりかねないと各紙は懸念している。ニューヨーク・タイムズは、すでに困窮している市民の、「中世に戻されたかのようだ」「みんな銃を持って通りに繰り出す準備ができているよ」などといった声を伝えた。

 また3党連立政権である与党も、支持急落と採決への造反、ひいては分裂の危機に晒されている。各紙は、もし今政権が崩壊して総選挙が行われたなら、緊縮法案とEU援助の拒否を言明している急進左派が第一党になる、との世論調査結果を報じている。なおニューヨーク・タイムズは、海外口座を利用した富裕層の脱税疑惑の情報を得ながら歴代財務相がこれを放置しており、口座リストを公開した雑誌編集者が逮捕された件についても触れ、これも連立政権(特に社会党)にとって大きな打撃だったと論じた。

 多くのアナリストは、それでも緊縮法案がギリギリで通過すると予想している。ただしウォール・ストリート・ジャーナルによれば、その差はわずか3~6票程度かも知れないという。

Text by NewSphere 編集部