ハリケーンの被害―経済・選挙・生活へのダメージは?―

ハリケーン 29日夜(日本時間30日午前)、大型ハリケーン「サンディ」がアメリカ東部を直撃し、ここ100年で最大の被害を及ぼした。特に被害が大きかったのは、東海岸に面するニュージャージー州とニューヨーク州である。これらの州では、地下鉄や電車などの公共交通機関をはじめ、飛行機などもほとんどすべて運休となっている。また少なくとも50人が死亡した。停電被害は820万世帯に及んだ。現在、数百万の人々とレスキュー隊が、救助活動やがれき撤去を行なっている。今回のハリケーンが満潮時と重なったことが、洪水などの被害の拡大につながったと専門家は分析した。

Financial Timesの報道姿勢―彫刻展覧会は中止、大きな損失が残る―
 「サンディ」による街への被害をレポートした。
 マンハッタンのサウスストリート港では、ショッピングモールに水が押しよせ、多くの商品は流れ、窓も粉々になってしまっている。またマンハッタンでの展覧会に出品するはずだった彫刻品なども被害を受け、20万ドル(約1600万円)の損失が出たと報じた。
 交通機関については、バスは運行を開始したものの、地下鉄の復旧にはまだ1週間ほどかかる見込みだという。

International Herald Tribuneの報道姿勢―オバマ有利か?―
 大統領選へ与える影響について報じた。
 オバマ大統領は、遊説等の予定をキャンセルし、大統領としての仕事に集中した。被害の大きかったニュージャージー州のクリスティー知事(共和党)は、大統領の対応を賞賛している。2005年、大型ハリケーン「カトリーナ」の対応のまずさから、ブッシュ大統領が強く批判されたのとは対照的だ。オバマ大統領は、現在はハリケーン対応が最優先だと述べ、内陸部でも被害が出る可能性があるため注意を呼びかけた。一方、選挙活動も進めており、最重要激戦区とみられるオハイオ州に、バイデン副大統領とクリントン元大統領が現地入りした。
 ロムニーも同様に予定を変更し、ハリケーン被害に対する援助を呼びかける非政治的なイベントを開催した(選挙CMは流れていたが)。被災地訪問する可能性も取り沙汰されている。ロムニーは女性票狙い 女性がオバマ政権への不安を語るCMを新たに流し始めた

The Wall Street Journalの報道姿勢―アメリカ経済への打撃―
 このハリケーンによるアメリカ経済への推定被害額は数十億ドル規模であると、専門家は指摘した。災害保険だけでも50億ドルから100億ドルが必要になる。さらに旅行会社などは、プランの中止や実施日の遅延などで、少なくとも7億ドルの損害が見込まれている。飛行機も14万便以上が欠航となっているため、被害額も数億ドルに及ぶとみられている。またハローウィーンのシーズンにも重なったために、グッズなどの売り上げを考慮すると約80億の損失を被ることになる。
 しかし、ある専門家は「経済への打撃は強大だが一時的だ」と述べ、前向きな姿勢を示した。彼によれば、ハローウィーンでの売り上げも時期がずれるだけで、収益が上がることは十分に考えられると指摘した。

Text by NewSphere 編集部