中国企業経営者、対中投資規制でアメリカを非難

 中国の建設機械メーカー三一重工の関連企業ロールズがオレゴン州の風力発電所買収を計画していた件で、軍の飛行禁止区域が近いとの理由で、対米外国投資委員会(CFIUS)に買収案を却下された。さらにオバマ大統領が国家安全保障を理由に大統領権限を行使し、買収差し止めを命じた。厳しい対中政策を競う米大統領選挙が拍車をかけた格好だ。三一重工はこれに対し、中国差別であると非難している。ロールズはアメリカで、オバマ大統領の告訴に踏み切った。

Financial Timesの報道姿勢―米中経済の緊張を浮き彫りに―
 三一グループ創設メンバーの梁取締役が、CFIUSとオバマ大統領を「悪党」呼ばわりしたと報じた。梁氏は、アメリカが中国を敵視しており、中国のする事は何でも安全保障を脅かすものと捉えていると非難。米中の経済的緊張の高まりを浮き彫りにした。梁氏は、CFIUSとオバマ大統領の行動は米国憲法と私有財産保護の精神を侵害するものとした。さらに、ロールズの法的挑戦は中国企業と三一重工の威厳を守るため重要で、中国企業の未来にとり意義深いものとなるだろうと述べた。対して中国の外務大臣は、米中関係を大局的にみるよう促し、外務省スポークスマンは、米中関係の本来の相互利益性を大統領選で人々が十分に理解してくれることを期待すると述べた。
 なお三一重工は海外で急速に拡大しており、昨年ジョージア州に工場建設、4月にドイツのコンクリートポンプメーカーのプツマイスターを5億2500万ユーロで獲得など拡大している。

The Wall Street Journalの報道姿勢―米経済への悪影響を懸念―
 中国企業の対米投資の行方について分析した。中国企業は2012年前半、米企業とプロジェクトに36億ドル投資している。このペースだと80億ドルを上回るとみられ、2010年の58億ドル、2005年の20億ドルを大きく上回る。この傾向が続けば、中国企業により2020年までに20~40万の雇用をサポートすることになるといわれる。
 ただし、専門家は、2005年に中国の大石油会社CNOOCの買収が米政府に反対され失敗したことを挙げ、こうした場合アメリカでの投資は不可能になると指摘した。米連邦・州両政府は、景気上昇と雇用確保の手段として中国からの投資を積極的に求めているが、今回の問題はその妨げとなると指摘される。

Text by NewSphere 編集部