薄氏実刑の方向で海外紙は分析 側近に懲役15年の判決

 「薄氏の側近に実刑判決」というニュースについて、ここまでの流れを簡単にまとめた。

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■薄熙来(ボシライ)
党指導部入りが有力視されていたが、今春失脚。妻のヘイウッド氏殺害事件関連で、刑事責任が問われるかどうかが焦点。

■谷開来(グカイライ)
薄氏の妻。ヘイウッド氏を殺害した罪で、8月に執行猶予付き死刑判決が下った。

■王立軍(ワンリジュン)
薄氏の元側近。谷氏によるヘイウッド氏殺害を薄氏に報告後、怒りを買ったという。その後アメリカ大使館に亡命を希望するも、拒否される。中国側に引き渡され、今回懲役15年の判決が下った。

■ニール・ヘイウッド
薄氏の家族と深い関係にあったイギリス人実業家。昨年11月、谷氏に毒殺された。
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 24日、中国四川省成都市の地裁は、重慶市副市長だった王立軍氏に15年の懲役を言い渡した。彼は、亡命、収賄、職権乱用、利己的な法の歪曲などの罪に問われた。王立軍氏は容疑を否定せず、量刑にも異議を申し立てていない。彼の罪状は無期懲役に値するものだけに、15年という刑期はかなり短いと考えられている。その理由は、昨年11月に起きたヘイウッド氏殺害事件の主犯者の情報を提供したことだと海外紙は報じた。
 この事件を受けて、王氏の元上司で重慶市長だった薄熙来氏も、彼の妻が起こした殺害事件を隠蔽したとして刑事的責任が問われることになるだろうと各紙は報じた。薄氏は重慶市長時代、強い影響力を持ち、党指導部入りが有力視されていた。今秋行われる10年に1度の指導部交代に影響を与える可能性もあると分析した。
 薄熙来氏の妻で、ヘイウッド氏殺害事件の主犯者である谷開来氏は、8月に執行猶予つき死刑を宣告されているが、実際は無期懲役になるだろうと予想されている。

Financial Timesの報道姿勢
 まず、薄氏が党の重鎮だった父を持ち、期待の新君主と思われるほど活躍していたことを紹介した。しかしヘイウッド氏殺害事件を受け、4月に全ての政治ポストを剥奪され、それ以降公の場に姿を現していないと報じた。薄氏がこの後、裁判で刑事的責任を追及されるだろうと分析している。
また、王氏の亡命を拒んだことで共和党から批判を受けていたため、オバマ大統領は王氏が死刑を免れたことに安堵しているだろうと指摘した。

International Herald Tribuneの報道姿勢-薄氏の今後の予測—
 薄氏の処置については、秋の党指導部交代前に、中国から何らかの発表やリークがある可能性に言及した。特に、薄氏が刑事責任をとるのか、それとも政党組織の中で制裁措置を受けることになるのかが焦点だと報じた。ここで、王氏が薄氏に谷氏の容疑を報告した際、「叩かれた」と証言したことが国営メディアの新華社により報じられた。新華社の報道は基本的に党の意向をくんでいることから、殺害事件の隠蔽に関しては刑事責任をとらせる方針であろうと分析した。

The Wall Street Journalの報道姿勢—王氏の容疑-
 ヘイウッド氏殺害事件の際には、郭という別の人物が関わっている事や、その人物とのやり取りなども報じている。また、新華社の報道を引用する形で、王氏が大連実徳グループの会長らの要請をうけ、4人の犯罪者を解放して、45万ドル(約3600万円)相当の報酬を得ていた容疑を取り上げた。

Text by NewSphere 編集部