パキスタン大臣「懸賞金」発言 海外紙は不安定な内政と分析

 パキスタンのビロウル鉄道相は、ムハンマドを侮辱した映像の制作者を殺害したら10万ドル(約800万円)の懸賞金をかける、と発表した。さらにビロウル氏は、タリバンやアルカイダにも殺害に加わるよう呼びかけた。なお、この声明は政府とは無関係とされている。
 背景として、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した映像がインターネットで公開されたことを契機に、各地で反米デモが勃発している。パキスタンでは21日、警察と暴徒との衝突により23人が死亡、200人以上が負傷する事態となっていた。

International Herald Tribuneの報道姿勢-国民の怒りをそらす目的-
 ビロウル氏は、殺害による懸賞金は法に違反していることを認識した上で、「ムハンマドの名において首をつられる覚悟はできている」と発言したと報じた。この発言は21日の大規模な衝突の翌日に行われており、国民の怒りの矛先を国から制作者へ向ける意図があるとみられる。またビロウル氏は、連立政権を構成する少数派政党に属しており、パキスタン政府の不安定さを浮き彫りにしていると分析した。なお、議会や米国領事館の周辺では(比較的)平和的なデモが行われていると報じた。

Financial Timesの報道姿勢-米国に対する葛藤-
 背景にあるパキスタン内政の不安定さを報道した。実際、政府はビロウル氏の個人的コメントを批判している。このビロウル氏の発言は、米国との強い結びつきと、一方で根強い反米感情のひずみが明らかになったものだと分析している。なおパキスタンは、電力不足・インフレなどによる低成長に苦しんでいることも指摘した。

Text by NewSphere 編集部