中国×バブル 海外の反応まとめ

 中国の不動産バブルが崩壊に向かっているという見方が強まっている。

 かつては少数の都市でしか住宅価格の下落が観察されなかった中国で、近年、全国の多くの都市でいっせいに住宅価格の下落が報告されている。中国政府もこうした事態に危機感を持ち、これまでは住宅購入熱を冷やすために住宅ローンなどに制約を設けてきたが、そうした制約の一部を撤廃し始めた。

 その中国の不動産価格が本格的に下がることを危惧する人も多い。中国の金融機関の健全性や、バブル崩壊による国民の消費意欲への影響が、景気の足を引っ張るのではないかとの声も挙がっている。

 海外の専門家は、中国が間もなくバブル崩壊を迎え、日本と同じようなデフレスパイラルを迎えるのではないかと懸念の声を挙げている。

 また、著名な経済学者、ケネス・ロゴフ氏をはじめ多くの専門家は、中国バブルの崩壊が世界経済に与える影響は計り知れないと警鐘を鳴らしている。

 中国政府は以前からバブルを警戒し、頭金割合引き上げや課税強化などの規制路線を敷いてきたが、中国の成長が鈍化しているのに対し、規制を強化し過ぎることには不安があると感じており、そのジレンマに悩まされている状況だ。

 以下、昨今の主要な海外の反応をまとめる。

1)中国、バブル崩壊間近か? 「日本と同じ道をたどる」と専門家が報告

 中国が間もなくバブル崩壊を迎え、日本と同じような「デフレスパイラルに陥るかもしれない」という報告が、バンクオブアメリカ・メリルリンチから発表された。

 報告書を書いたのは、日本人株式アナリストの神山直樹氏とシンガポールの研究員、デビッド・チュイ氏だ。両氏の分析によれば、現在の中国と、バブル崩壊を経てデフレ状態に入った1980年代末から90年代初めの日本の状況は非常によく似ているという。

 現在の中国経済は当時の日本同様、輸出への依存度が非常に高く、世界的な金融危機でその需要が落ちているという状況もよく似ている。中国政府は事態を打開するため、景気刺激策を行ったが、それがバブルを煽る結果となった。

(告書を書いた神山・チュイ両氏は、問題解決には不良債権処理と金融システムの再構築が有効かつ不可欠だと主張する。しかし、『Quartz』は「それを行うと一時的に経済成長が止まることになる」と記す。)
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2)日本の二の舞?中国不動産バブルに陰り サブプライム危機予想のロゴフ氏、中国経済失速リスクを懸念

 中国の不動産バブルが崩壊に向かっているという見方が強まっている。アメリカの著名な経済学者、ケネス・ロゴフ氏をはじめ多くの専門家は、中国バブルの崩壊は「世界経済の最大のリスクだ」と警鐘を鳴らしている。

 世界の複数の経済アナリストは、中国のGDPの16%から20%が不動産投資によるもので、それゆえに中国経済は脆弱だと指摘している(ブルームバーグ)。不動産バブルの崩壊は、中国経済全体の崩壊につながりかねないというのだ。 

 ロゴフ氏は、アメリカのサブプライム危機を予測した知見で、今の中国経済を「かつてないほどアンバランスだ」とみている。

(野村證券がこのほど発表した調査報告書によると、住宅の過剰供給と融資資金の不足により、中国の不動産市場が崩れ始めているという。中国不動産バブル崩壊の危機は、もはや一刻の猶予も許さない状況となっている。)
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3)中国政府のジレンマ 不動産バブルを止められない理由とは?

 フォーブス誌は、富裕層が不動産を投資先に選んでいることが原因と分析する。貯蓄口座では割に合わず、かといって各種市場は不安定なためだという。国家統計局も、需要増に加えての地価上昇が原因と声明を出している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、2013年前半における融資急増と、一部の都市における住宅購入規制緩和が組み合わさったことが、価格上昇に貢献したと指摘する。

 政府は以前からバブルを警戒し、頭金割合引き上げや課税強化などの規制路線を敷いてきたが、中国の成長が鈍化しているのに対し、不動産部門は各種産業への経済効果が大きいため、規制を強化し過ぎることには不安があるようだ。

(政府がこれにどう対処するかについて、ブルームバーグは、中央による指示よりも各都市の実情に合わせて自主的な不動産政策を取らせる、規制や緩和ではなく供給増によって対処する、といった専門家の観測を伝えている。)
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Text by NewSphere 編集部