日本版カジノ、解禁の行方は? 海外の反応まとめ

 2020年、戦後日本で初めて、合法的なカジノができるかもしれない。過去、合法化が検討されながら、様々な問題のため実現できなかったカジノだが、「統合型リゾート(IR)」という位置づけで、法制化が検討されている。

 日本では、競馬などの公営賭博を除いて賭博は禁じられており、カジノも非合法だ。一方世界では120ヶ国以上で合法であり、シンガポールのように、カジノを観光活性化に結びつけた国もある。

 日本でも、主に外国人観光客増加による経済活性化、地域振興の観点から推進されている。

 海外経済メディアなども、日本版カジノの行方に注目している。以下、昨今の主要な報道をまとめる。

[専門家の意見]

1)1兆円以上…カジノの市場規模、ゴルフ場・テーマパーク以上の見込み 海外事業者も熱視線

 予想される市場規模は、試算主体によって異なるが、1兆円前後の有望市場と見られている。これは、ゴルフ場(9010億円)、テーマパークや遊園地(7240億円)を超える規模だ(2013年 レジャー白書2014より)。
 またアジアでは、4.5兆円のマカオに次いで2位の規模だ。

(日本のカジノ市場は、様々なレジャー市場より規模が大きいと予測されている。海外IR大手が前のめりな発言を行っているのも、有望な市場だからだろう。)
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2)120ヶ国で合法のカジノ、公営賭博大国・日本で非合法の理由とは? 法制度・道徳の影響

 一方、日本においては、賭博(金品を賭けて、偶然性が含まれる勝負を行う)の常習、開帳は罪に問われる。「勤労の美風」を損ない、国民経済に悪影響を及ぼすから、と説明される。
 しかし、国際カジノ研究所所長の木曽崇氏によると、このように道徳的に禁じるという考え方は、海外ではほとんど通じないという。儒教文化、特に朱子学や陽明学の影響が大きいようだ。なお、孔子は賭博を明確に禁じていない。

(また日本でカジノ議論が複雑になるのは、パチンコ産業の影響との指摘もある。カジノ解禁論者には、パチンコが採用している3店方式を「制度的に明文化すべき」、「禁止すべき」という、相反する主張があるためだ。)
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3)日本版カジノはどこにできる? 大阪、東京、長崎…各地の取り組みとは

 候補地として、最も有力なのは東京だろう。富裕層含め人口が多く、海外からの交通の便も良い。2011年にフジテレビが、いわゆる「お台場IR構想」を複数企業と提案したこともあり、お台場を有力視する海外の報道も多数見られる。
 一方、大阪府は、松井知事・橋下大阪市長が誘致に意欲的だ。松井知事は、4月の「IR立地準備会議」で人口島「夢洲(ゆめしま)」を候補地として表明した。9月には、大阪市が検討している鉄道整備計画案が報じられるなど、開発に向けての動きも見られる。

(日本でカジノはどこにできるか。現在検討されている枠組みは、開発・運営は民間主体である。各企業が迷わず投資したくなるような、「ビジョン」と「試算」、双方が自治体側には必要だろう。)
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4)日本の外国人観光客数は韓国以下…カジノ解禁で、観光業は変われるか? 専門家が語るビジョンとは

 観光業を始め、ソフトウェア・コンテンツの部分はあまり重視されてこなかった。実際、日本への観光客数は、韓国を下回る水準だ。日本の観光業は驚くほど立ち遅れているが、逆に、伸びしろも大きいと注目されている。
 1964年の東京五輪は、日本の工業化、高度経済成長期の始まりだった。2020年の東京五輪も、新たな次世代の産業、経済のあり方を決める機会とすべきだ。カジノも、その流れの中に位置づけられる。

(日本で数少ないカジノ専門家の木曽崇氏は、「日本は何で儲けるのか?」という根源的な問題を問いかけ、上記のように語っている。)
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5)依存症、治安悪化…カジノのリスクをどう防ぐ? ギャンブル教育が重要と専門家主張

 カジノ導入に伴う社会的なリスクは、大きく3つあげられる。ギャンブル依存症、犯罪、青少年への悪影響だ。
 大前提として、こうしたリスクを最小化するためには、カジノのロケーション選定が最重要になるという。例えば、周囲に住宅街、教育・福祉機関があるところなどは、社会的コストが高くなるので避けるべきだ。観光面ではアクセスの良さが重要だが、社会的コストとのバランスを考えることが必要だ。

(日本のカジノ反対論は、上記のリスクを指摘するものが多い。リスクとリターンを踏まえた上での冷静な議論が必要だ。)
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[海外報道]

1)“1兆円出す” 日本のカジノリゾート開発へ、ラスベガス・サンズ本格進出か

 米カジノ運営大手ラスベガス・サンズのアデルソンCEOは、日本のカジノ市場への巨額投資の意向を表明した。カジノ合法化の法案が国会を通過し、市場が開放されれば、マカオに続く世界第2の市場になると見込まれる。海外メディアは、日本カジノ事業への期待を報じている。

(他にも、米MGMリゾーツやウィン・リゾーが数十億ドル規模の投資を表明している。日本のカジノへの期待の大きさが伺える。)
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2)日本初のカジノ、東京ではなく大阪? トップの姿勢に違い 参入狙う外資も注目

 ロイターは、ここへ来て東京のカジノプロジェクトに立ちはだかる2つの壁を挙げている。ひとつは、高騰する建設費、もうひとつが、舛添要一都知事だ。まず、震災復興とオリンピックの建設準備により建設コストが軒並み上昇し、そこへきてさらに、舛添都知事が6月に、カジノについて「最優先課題ではない」と発言したことが追い打ちをかけた。

(大阪を指名する外資企業もある。カジノがどこにできるかは、自治体の発議と事業者の入札が必須になる可能性が高いため、現状ではどこが初になるか、断言できない。)
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3)日本のカジノ、“米企業に任せろ” 犯罪対策には豊富な経験が必要と米識者

 米アナリスト、「米カジノ企業は、アメリカ国内だけでなく、海外の異なる司法のもとで不正な取引に関する非常に厳しい規制を経験している」「日本の政治家が彼らを選べば、リスクもより低くなるだろう」と語る。

(日本のカジノ解禁を見越して、上記のような情報も出始めてきた。)
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4)日本カジノスクール、カジノ合法化へ期待大 開校10年…校長の「賭け」を米紙が報道

 日本におけるカジノの合法化をいち早く予測していたのは、日本カジノスクールの校長の大岩根成悦氏である。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、2004年にスクールを開校した同氏は「近いうちにカジノが合法化されると確信していた」という。スクールでは、カードの操り方からカジノにおけるホスピタリティに至るまでを教えている。

(先見の明。ただ、日本のカジノ合法化の経済的影響は観光業の増強が大半で、雇用の創設ではないだろうとのアナリストの見解も報じられている。)
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Text by NewSphere 編集部