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原爆めぐる日米の意識のずれ…米識者“日本は原爆から、米国は原爆までの文脈を重視”

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原爆めぐる日米の意識のずれ…米識者“日本は原爆から、米国は原爆までの文脈を重視”

 オバマ大統領の広島訪問が決定したが、アメリカでは安倍首相の真珠湾訪問を求める声が出ている。そもそも第二次大戦について、日米の認識はいまだに食い違っており、その溝は埋められてこなかった。日本の責任を明らかにしたうえで、真珠湾訪問をという声もある一方、相互訪問により日米が互いに過去と向き合うことで、未来志向の「物語」を作ることができると言う米識者の意見もある。

◆日米にある、それぞれの原爆の「物語」
 コロンビア大学の日本近代史研究者、キャロル・グラック氏は、ウェブ誌『Slate』のインタビューで、日米の原爆の「物語」は異なっているという指摘をしている。アメリカの物語が「原爆は戦争を終わらせ、アメリカ人の命を救った」であるのに対し、日本では「原爆が世界平和のためのミッションを日本に与えた」なのだと説明し、両国の原爆の「物語」はこれまで全く変化してこなかったと述べている。

 グラック氏は、アメリカにとっては、原爆の物語は1945年で終わっており、1995年に退役軍人からの圧力で、スミソニアン博物館のエノラゲイ展で原爆被害を説明することが取り消された事件が示すように、軍拡競争や放射能被害の事実は認められなかったと述べる。結局日本は広島以前を無視し、アメリカは長崎以後を無視しており、それぞれが物語を縮めてしまったというのが、同氏の見方だ。

 広島の慰霊碑に書かれた「過ちは繰返しませぬから」が意味するのは原爆なのか戦争なのかという議論に対し、実はどちらも意味すると述べる同氏は、悪いのは戦争を起こしたほうなのか、原爆を落としたほうなのかという責任論を超え、「核戦争は間違っている。我々は二度とそれを見たくない」という象徴的な意思表示が、オバマ氏広島訪問の中心であることを示唆している。

◆戦争責任を認めない日本への批判
 フォーブス誌に寄稿した知日派ジャーナリスト、ジョン・ボイド氏は、オバマ大統領の広島訪問を肯定的に見ているが、それで終わりにすべきではなく、日米の相互訪問の形を取り、安倍首相も真珠湾を訪れるべきだと述べる。

 2013年に安倍首相が靖国神社を訪問したことに否定的なボイド氏は、慰霊の気持ちは日本の英霊だけではなく、真珠湾攻撃の犠牲者にも向けられるべきだと断じる。同氏は、毎年行われる広島・長崎での式典で、両市の市長は死者や苦しみ、核兵器廃絶の必要性に触れ平和の宣言をするものの、この惨事をもたらしたものについての言及は聞いたことがないと述べ、戦争を始めた日本の責任に言及し、戦争を長引かせたのは日本のリーダー達だったと認めないことには、広島・長崎は犠牲者の祭典になりかねないと主張する。同氏は、オバマ大統領の広島訪問が歓迎されるなら、なぜ悲劇が起こったかを大統領が指摘することも歓迎されるだろうとし、そうなれば安倍首相の相互訪問も歓迎されるだろうと述べている(フォーブス誌)。

◆相互訪問は日米の未来に向けての第一歩
 タフツ大学、フレッチャー・スクールのアシスタント・ディレクター、ザック・プリスタップ氏も、フォーリン・アフェア誌において、原爆投下や日本の戦争責任に関しては、日米それぞれ受け入れ難い部分があることを指摘し、できるだけ一方に偏することのない物語を、両者で作り上げることが大切だとする。そのためにも今年の真珠湾攻撃75周年を記念する式典に、安倍首相が出席するべきと述べる。

 同氏は、安倍首相の靖国参拝や河野談話検証は物議を醸したが、韓国との慰安婦問題合意など、首相は第二次大戦のレガシーに対し、最近はより融和的な姿勢をみせていると述べる。この機運をもって首相が真珠湾を訪れれば、日米関係の新たな章の始まりを強調するメッセージを送るだろうオバマ大統領の広島訪問に、歴史的な文脈を与える機会になると同氏は考える。大統領の訪問の流れを受け、首相は長崎・広島は単独で生じたのではないと伝えることができ、日本の嫌な過去を強く認識していることも示すだろうというのだ。さらに、日本が歴史を修正することよりも、平和への貢献により尽力するという姿勢を世界にアピールするのに役立ち、日本の「積極的平和主義」という安全保障上の活性化に対する、近隣諸国の理解も得やすくなると見ている。

 最終的に、日米両首脳の相互訪問は、日米同盟を感情的に強化するとプリスタップ氏は指摘する。中国や北朝鮮に、二人が肩を並べて苦難に立ち向かうという力強いメッセージとなるばかりでなく、お互いが共有する嫌な過去にともに向き合うことで、歴史問題で混乱し麻痺する東アジアにとってのお手本ともなり得ると述べている。

 日本のメディアは、安倍首相の真珠湾訪問は検討されていないという菅官房長官のコメントを報じているが、日米関係の未来のための相互訪問は、一考に値するかもしれない。

(山川真智子)

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