朴大統領、変わらぬ日本の歴史批判 「必要なことだけ記憶するものではない」

 1919年に日本の植民地支配下の朝鮮半島で起きた「3.1独立運動」を記念する式典で、韓国の朴槿恵大統領が演説を行った。海外メディアはどう伝えているのか。

◆歴史問題解決が日韓関係改善のカギ
 朴大統領は、「日本は勇気をもって誠実に」過去の過ちに向き合うべきだ、と日本に呼びかけた。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙、ブルームバーグ、中国国営新華社通信が、共通して冒頭で報じている。朴大統領は、日韓国交正常化から50年を迎えるにあたり、フランスとドイツが新しいヨーロッパを創設する指導的な役割を果たしたように、次の50年のために、日韓が共同で「新しい歴史を書くべき」と述べた。

 朴大統領は、コネティカット大のアレクシス・ダデン教授の言葉を引用しながら、「歴史とは好きに取捨選択し、必要なことだけ記憶するものではない」と述べた。安倍政権の歴史修正主義の動きを批判し、日本の歴史認識問題が関係改善のカギとの考えを示したといえる(NYT紙、韓国の中央日報、新華社通信)

 ダデン教授は、米歴史学者19人とともに、日本政府が米教科書会社に対し慰安婦関連記述の修正を要請したことを、非難する声明を発表していた。対象の教科書は、慰安婦について、「日本軍が最大20万人にも及ぶ14歳から20歳までの女性を強制的に募集、徴用した」「天皇からの賜物として提供した」などと記していたという(読売新聞)。

◆慰安婦問題の早期解決を求める
 ブルームバーグは、慰安婦問題をメインに取り上げた。記事の見出しは「朴大統領が日本に性奴隷の”真実を素直に認める”よう要求」だ。

 朴大統領は、元慰安婦が高齢化しており、今年に入ってすでに2人が心の傷が癒やされないまま亡くなっており、53人の生存者を残すのみとなったいま、「名誉を回復させるための時間はあまり残っていない」と述べ、早期解決を求めた。

◆北朝鮮とは協議再開を目指す
 なお朴大統領は、演説で北朝鮮についても語っている。中央日報は「対北朝鮮メッセージは融和基調を継続した」と述べた。NYT紙も、離散家族再会のために韓国との対話に応じるよう求めたと伝え、朴大統領が北朝鮮との協議再開の糸口を探る姿勢を見せていることを示した。

Text by NewSphere 編集部