中国メディア、民主党にエール…安倍首相の改憲阻止に期待 米英紙と対照的

岡田克也民主党代表

 民主党代表戦で、岡田氏が選出された。米英メディアは岡田氏が、安倍自民党にチャレンジするのは困難と指摘。中国国営新華社は、独特の見方で報じている。

◆イチ押しは細野氏だった?
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、民主党は2009年から2012年まで政権を担当していたが、たびたびの指導力の混乱や低迷する経済のため、人気を失ったと説明。12月の連立与党が大勝した選挙で、海江田代表が議席を失ったため、今回の代表戦となったと述べる。

 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、第1回投票で首位に立った43歳の細野氏を、「日本政治の老人支配の中で際立つ存在」、「如才なくハンサム」と紹介し、多くが若い細野氏に望みをかけたと述べた。しかし、新世代の顔ではなく、ベテラン岡田氏を民主党が選んだことで、安倍首相の優勢は、さらに勢いづいたとし、残念さを表している。

◆岡田氏の政策は首相寄り?
 FTは、岡田氏自身は誠実で政策通として知られ、党の団結を説き、消費者、納税者、労働者のための党として民主党の基本に戻ることを強調するが、安倍首相の政策に賛同するところも多いと述べる。

 岡田氏は、「完全にアベノミクスを拒絶するつもりはない」、「逆に『がんばって、ペースを速めて』と、多くの分野で(安倍首相に)伝えたいことがある(WSJ)」と発言。また、「経済成長はよいこと。しかし、トリクルダウン(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちるという説)よりむしろ、富の分配が政治の仕事。その部分では、安倍氏は失敗している」とも述べており、これでは暗に首相の功績を認めているようで、野党の連携などありそうもないことを示唆していると、FTは冷やかだ。

 WSJは、岡田氏が、生産性を高めるために規制緩和を支持するとしていることから、ここにも安倍首相の政策との共通性があるとする。防衛においても、地域の衝突へのよりよい備えが必要という安倍首相に、民主党としては概して賛成と述べ、自衛隊の役割強化についても、党として支持するかどうか勉強していくと述べたという。岡田氏が最大与党のリーダーとなったことで、安倍政権は議会で深刻な抵抗にあうことはなさそうだと、WSJも踏んでいる。

◆結局したいのは安倍批判
 中国の新華社は、岡田氏が党を立て直し、安倍首相の議会での一方的で右に傾斜する態度に挑戦する存在となってほしいとエールを送る。東京の大学院の名誉教授でアジア研究が専門のデビッド・マクレラン氏の言葉を引用し、「政策プラットフォームをクリアにし、団結を示すことで、暴走する自民にいくらか迫っていくことができる」とし、民主党が野党再編をもたらす可能性にも言及する。

 そしてなぜか、民主党が安倍首相の平和憲法の新解釈を無効にすることを期待し、突如テーマを転換。記事は安倍内閣が一方的に集団的自衛権行使を解禁し、戦中に苦しめられた近隣諸国や国際社会をうんざりさせたと糾弾する。さらに事実上戦後はアメリカの傘の下で守られてきて、防衛上の侵害を受けなかった島国の、平和から遠のく新たな一歩は、多くの第三者に好戦的、残忍、偽善的に映ると訴え、安倍首相批判で記事を締めくくっている。

Text by NewSphere 編集部