京都へ米軍ミサイル防衛レーダー配備 “対北朝鮮”だが、中国が批判

 米軍のミサイル防衛システム「Xバンドレーダー」が21日早朝、京都府京丹後市の米軍通信施設に運び込まれた。主に北朝鮮からのミサイル発射に備えるためだとされているが、中国外務省は23日の定例記者会見で、この動きを「地域の平和と安定を乱す」などと批判した。中国国営新華社通信が伝えた。ロイターなども、日米と中国の最近の軍事情勢を絡め、これを報じている。

◆中国外務省「北東アジアの平和と安定に反する」
 「Xバンドレーダー」は、弾道ミサイルの発射を探知・追尾する早期警戒レーダーシステムで、国内配備は青森県つがる市に続いて2ヶ所目。12月からの本格運用を予定している。

 新華社によると、中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は21日の定例記者会見で、「一部の国が、アジア太平洋地域で一方的にミサイル防衛システムの配備を進めている。地域の安全と多国間の信頼、そして北東アジアの平和と安定に反する行為だ」と非難した。

 華報道官はさらに、「複雑でデリケートな地域情勢に、さらに深い懸念を与える」と表明。特に日米を名指ししなかったものの、「関係諸国は(自国の安全保障問題を)他国の安全保障上の利益を傷つける言い訳にしてはならない」と、「Xバンドレーダー」配備などの動きは、対北朝鮮のみならず、中国を警戒したものだという認識を示した。

◆日米vs中国の争い
 ロイターも、これら中国の一連の批判を報じた。その記事の中で、北朝鮮が今年に入り、日本に到達可能な中距離弾道ミサイルを含むミサイル発射実験を繰り返し、核実験の強行も示唆していると指摘している。

 中国についても、新鋭艦や対艦ミサイルを配備するなど海軍力を増強していることに触れ、「アメリカは、アジア太平洋地域の米軍への挑戦だと見ている」と記している。ロシアのニュース専門局、RTも中国の非難声明を取り上げ、「東シナ海の小さな島々を巡る緊張を反映している」と、尖閣問題と絡めて報じている。

 同局は、改訂作業が進む日米防衛協力ガイドラインに、「中国の衛星撃墜能力に備えた」宇宙監視の協力体制の強化が盛り込まれることになったことや、日本が尖閣諸島の近くにレーダー基地の開設を進めていることにも触れている。また、中国の習近平国家主席が「地域紛争に勝つため」と明言し、軍に近代化と戦闘準備に邁進するよう鼓舞したとしている。

◆ミサイル駆逐艦の横須賀配備も
 こうした中、アメリカ太平洋艦隊は、横須賀海軍基地に最新鋭の迎撃システムを備えたミサイル駆逐艦(イージス艦)を配備すると発表した。USS『ベンフォールド』と『ミリウス』の2隻で、最新の防衛システム「イージス・ベースライン9」にアップグレードした後、2015年と2017年に順次配備される予定だ(ビジネスウィーク誌)。

 中国の反応は、「Xバンドレーダー」だけでなく、こうした一連の日米の防衛力強化の動きに反応したものだと思われる。

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Text by NewSphere 編集部