“日本が南北統一を妨げている”、韓国紙指摘 日韓関係の改善求める

 北朝鮮は7月、拉致された可能性のある日本人について調査を再開すると約束した。しかし9月18日、夏の終わりか秋の初めには提出するとしていた最初の報告だったが、調査が初期段階であるため難しく、完了するには1年かかると姿勢を後退させた。
 
 安倍晋三首相は、任期中に拉致問題を解決すると約束している。今回の北朝鮮の再調査で結果を出すことができるのか。

【苛立つ日本】
 日本外務省の伊原純一アジア大洋州局長と北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)日朝国交正常化担当大使は29日、中国の瀋陽で政府間協議を行った。日本は、拉致被害者について再調査の迅速な報告を求めた。

 北朝鮮が、拉致被害者再調査の最初の報告をできなかったことで、日本の不満は高まっている、とウェブ外交誌『ディプロマット』は報じている。日本経済新聞による先週末の調査では、調査に応じた人のうち57%が北朝鮮に追加制裁を望み、33%が様子を見たほうが良い、と考えている。

 報告の遅れにより、北朝鮮が約束を守る気があるのか疑念が生じている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じる。同紙は、2008年にも再調査の合意があったが、結果は得られなかったことを取り上げている。

【のらりくらり北朝鮮】
 北朝鮮代表のソン氏は、「拉致問題解決は、北朝鮮政府にとって最大の挑戦のひとつだ」(時事通信)と述べたが、調査の速度を上げる、あるいは、集中して進めるような様子はほとんど見られない、とディプロマット誌は指摘。また、北朝鮮は延期となった報告についてこの後の明確な期日も示していない。しかし、ソン氏は、「両国とも十分に協力し合うことで合意した。そのための努力も続けるとの考えも共有している。確かに、調査結果についての話し合いはできなかったが」(ディプロマット誌)と述べた。
 
 安倍晋三首相9月30日、「ソン大使は、科学的かつ客観的な調査が堅実に進められているが、調査は初期段階で明確な結果は得られていないと説明した」「北朝鮮側は、伊原局長が平壌を訪問し、特別調査委員会のメンバーから調査の詳細な状況について直に話を聞いてほしいと求めた」(ロイター)と述べた。

【焦る韓国】
 北朝鮮は中国との関係が悪化し、孤立の度を深めている。今や頼みの綱は日本だ、とディプロマット誌は報じている。

 また、韓国のコリア・タイムズ紙は、「北朝鮮の再建には日本が必要」との見出しをつけた。ただ、同紙の内容は、朝鮮南北統一のために日本の協力が不可欠だ、と日韓関係の改善を望むものだ。日本との苦々しい関係が北朝鮮の核の脅威に対処する努力を妨げている。結果として、朝鮮統一も難しくなっているとの韓国専門家の意見を取り上げた。

 同紙は、日韓の硬直した関係が続けば、統一に向け主導権を握りたい朴槿恵(パク・クネ)大統領は、貧しい北朝鮮の再建のためにすっかり肩代わりをしてやらなければいけないだろう、としている。

 また、日韓関係改善を求める韓国有識者の発言を掲載している。韓国国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授は、「防衛と経済は、南北統一に向け韓国が日本に協力を求めなければならない最も重要な分野だ」「日韓政府の関係が悪化すれば、日本は協力的な態度を示さないだろう」と述べた。ソウル大学校国際大学院の朴喆熙(パク・チョルヒ)教授は、「南北統一に国際的な協力が必要ということは誰もが理解している。隣国である日本の協力も必要だ」と述べた(コリア・タイムズ紙)。

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Text by NewSphere 編集部