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日本の新国防政策、米識者「平和に貢献」、豪元外相「中国刺激のリスク」…議論白熱

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日本の新国防政策、米識者「平和に貢献」、豪元外相「中国刺激のリスク」…議論白熱

 国際的な言論配信機関『プロジェクト・シンジケート』は、「日本の国防討論」と題して、2人の識者の論説を並べて公開した。憲法9条の再解釈など、安倍首相が現在進めている日本の外交・防衛政策の見直しをめぐって、その評価を試みたものだ。

【ポイントは日米同盟の強化と、アメリカ以外の国との同盟・協力関係の確立】
 論説の寄稿者は、元アメリカ国防次官補で、ハーバード大学教授のジョセフ・ナイ氏と、元オーストラリア外務大臣で、オーストラリア国立大学学長のギャレス・エバンズ氏だ。

 ナイ氏は、憲法の再解釈により、集団的自衛権の行使が可能となることで、日米同盟が強化され、それが東アジアの安定につながると、日本の防衛政策の変更を肯定的に捉えている。

 エバンズ氏は、日本の防衛政策変更は、理解はできるものの、リスクがあると指摘。特に、これまでのアメリカを中心としたハブ&スポーク型の同盟関係から、日本との直接的な同盟・協力関係への移行は、「深刻なリスク」であるとして、各国にそれを受け入れないよう提言している。

【憲法再解釈もやむなし?】
 2つの論説の相違点を突き合わせてみよう。まず、日本を取り巻くリスクの評価では、その程度に大きな開きがある。

 ナイ氏は、日本は今、危険な地域に位置しており、そこでは根の深い緊張関係が、今にも爆発しそうだ、と述べている。日本は非常に攻撃されやすく、最も差し迫った脅威として、北朝鮮の核・ミサイルを挙げる。さらに、より長期的な懸念として、中国の台頭を挙げている。中国は軍事力の拡張によって、領土紛争でますます独断的な態度を取ることが可能になっている。さらに、国内政治に対する国民の不満が高じて、競争心の強い愛国主義に転じる可能性がある、と指摘する。

 このような事情から、ナイ氏は、安倍首相が自衛権の拡大を追及していることに理解を示す。また、憲法再解釈について、批判者たちは、70年間にわたる平和主義からの完全な逸脱と考えているが、安倍首相が目指しているところは、実際には割合に穏当なものだ、と評価する。

【安倍首相自身がリスク?】
 エバンズ氏もまた、中国が最近、領土問題で積極的に自己主張をするようになったことを、日本が懸念しているのは正しい、と語る。安倍首相の取り組みは、理解しうるものだとしている。

 しかし、エバンズ氏にとっては、外的なリスクよりも、日本が、とりわけ安倍首相自身がリスクとなりうる、ということのほうが関心を引いたようだ。中国、韓国には、日本の軍国主義の復活に対して、抜きがたい懸念がある。加えて、安倍首相は極度に保守主義のナショナリストだ。戦争賛美の博物館「遊就館」が横にある靖国神社に、今後の参拝はありえないと明言することを拒んでいる。それが中国の疑念をあおり、韓国との協力を困難にしていて、海事での領土紛争が一触即発となるリスクを高めている、と語る。

 日本が再び軍国主義化するのではないか、という懸念は、オーストラリア国内にもあるようだ。ABCニュースのオーストラリア版は、日本の自衛隊が実際は軍隊に他ならないこと、国防費が2年続けて増額され、現在、世界第7位であること、日本の極右勢力の主張などを並べて紹介している。

【日米同盟を強化し、東アジアの安定を図る】
 ナイ氏は、インドやオーストラリアといった国々と緊密に連携し、中国を封じ込めようとする戦略は、中国との対立をあおることになり、現状では失策となるだろう、と語る。それよりももっと効果的なアプローチとして、氏が提言するのは、日米がこれまで以上に軍事的統合を深め、強力な防衛力を保持することだ。両国の指導者は、中国が責任ある行動を取る外的な誘因となるよう、地域環境を作り上げていかなければならない、と語る。

 一方で、日米同盟は、その形を変えていかなければならない。具体的には、米軍基地を、徐々に日本の管轄に移転していくことだ。日本が同盟においてアメリカと対等なパートナーになることは、アジアにおける地位、また国際的地位を確保するために、絶対に必要である、と述べる。この点で、安倍首相は正しい方向に向かっているという。

【日本の試みは中国を刺激し、パワーバランスを崩す?】
 エバンズ氏も、日本と諸国が直接に同盟・協力関係を築き、中国を包囲していく、という方針に対しては、明確に反対している。現状改変の試みとして、中国を刺激するから、というのがその理由だ。現在、アジア太平洋地域では、中国とアメリカが微妙なパワーバランスを保っているが、日本の試みは、その危ういバランスをむしばむ恐れがある、としている。

 アジアの安全保障には、長年にわたって、3つの主要素がある、と氏は述べる。アメリカを中心とした、ハブ&スポーク型の同盟関係。次に、自国軍による国防努力。これら2つについては、中国もそれなりに理解し、受け入れているとする。最後に、ASEAN地域フォーラムや、東アジアサミットなど、多国間の安全保障会談だ。しかしこちらは、これまでのところ、期待されたほどには成果を上げていない、という。

 これらによって作られるアジアのデリケートなバランスは、何十年にもわたってほとんど変化していない、と氏は語る。しかし日本は今や、各国と緊密な協力関係を築くことで、これまでのこのバランスを変化させることを決意したようだ、という。特に氏の念頭にあるのは、協力を深めつつあるオーストラリアと日本の関係である。

【波風を立てるな?】
 しかし、オーストラリア、日本、その他多くのアジア太平洋諸国の経済的利益は、中国と非常に強固に結びついており、波風を立てることは、深刻なリスクを意味する、とエバンズ氏は主張する。

 中国が領土を拡張しようとする際には、はっきりと抵抗すべきだ。しかし、何十年もの間、慣例であり続けているものを逸脱して、それぞれの国で抵抗することから、よその国の味方をすることへと歩を進めることについては、慎重であるべきだ、と述べる。中国でも他国と同様に、強硬派と穏健派との間で激しい内部論争が起こっている、とする論説を引き合いに出して、アジアのどの国にとっても、中国国内のハト派を助け、タカ派にはいかなる弾みも与えないように発言し、振る舞うことが、スマートな政策である、と主張する。

 総じて氏の主張は、中国が今後も、過去数十年間と同じように振る舞うということを前提にしているようだ。

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(Newsphere編集部)

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