米無人機を三沢基地に配備へ 中国・北朝鮮に対し、穴のない監視が可能に 

 米軍の無人偵察機「グローバルホーク」2機が、今月下旬、青森の三沢基地に配備される。配備期間は今年10月までの予定。

 この無人機はもともと、グアム島のアンダーセン空軍基地を拠点に運用されていた。しかし、台風など悪天候が続く5~10月は現地での任務が制約されていたため、気候が安定している三沢基地に配備することになったという。

 航空自衛隊は同型機の購入を進める方針で、早ければ来年にも導入し、本格的に中国や北朝鮮の動向を監視していくと報じられる。

【無人機配備のねらいとは】
 無人機を配備するねらいは何だろうか。

 まず、北朝鮮の核・ミサイル監視などに使われている情報収集衛星(IGS)の欠点を、無人機は補ってくれる。地球を回るIGSは、位置によっては、特定の場所をみることができない。無人機の利用によって、24時間リアルタイムで監視することが可能となる。

 尖閣諸島付近で緊張関係にある中国の、東シナ海の動向監視も期待されている。

 また読売新聞によると、自衛隊幹部は「グローバルホークは東京電力福島第一原発事故で原子炉の監視任務も行い、様々なデータを提供してくれた」とも語ったという。

【米軍と北朝鮮の無人機は全くの別物?】
 三沢基地に配備される無人機は、全幅約40m、全長14.5mで、両翼の幅だけみれば中型旅客機(ボーイング社757相当)並に大きい。

 車のナンバーまで読み取れる高性能カメラや、電波情報を収集する各種センサーを搭載し、攻撃能力はもたない。また高度約1.8万mの上空で、30時間の飛行が可能である。

 なお韓国で発見されて話題となった北朝鮮の無人機は、全長1.22m、全幅1.93mとコンパクトサイズだった。

【無人機の課題】
 三沢市では、無人機の安全性に懸念を示す声もある。今年4月末には三沢基地前で約60人のデモ行進が行われており、デモの代表は「人が乗っていないことに不安を感じる」と話している(読売新聞)。

 また、日本の航空法は、航空機を「人が乗って航空の用に供することができる飛行機」などと定義。無人機の運航ルールは明確に定められていない、とロシア・トゥデイが報じている。自衛隊の無人機運航に当たっても、パイロット(遠隔操作)の資格や、無人機の位置づけなどを、新たに定める必要があるという。関係省庁との具体策の検討が予定されてはいるが、内容や時期などの詳細は明らかにされていない。

 一方、米軍の無人機は、日米安全保障条約に基づいて、大半の航空法の適用が除外されており、運航が可能であるとのことだ。

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Text by NewSphere 編集部