麻生財務相、米国にチクリ 消費税決めた日本、予算決められない米国

 麻生太郎財務相は4日の記者会見で、米議会の予算審議膠着について懸念を述べた。

 米議会では、「オバマケア」と呼ばれる国民皆保険制度をめぐり与野党が対立。予算案を可決できず、1日から政府機能が一部閉鎖し、「非必須の」連邦職員80万人が自宅待機を命じられている。統計機関までも停止しているため、金融政策に必要な最新の経済データが発表されていない状況だ。

 さらに、17日までに債務上限引き上げ法案が可決されないと、米国債がデフォルト(債務不履行)する危険さえ報じられている。米国は5月、すでに16.7兆ドルの法定債務上限に到達しており、現在は緊急措置で凌いでいるが、それも限界に達してしまう。

【すでに市場に不安】
 投資家がドルを売り円を買う動きに出ているため円相場は上がり、さらにそれが輸出関連企業の収益見通しに響いたため、日本の株価も下落傾向が続いている。ブルームバーグによると、専門家は、不確実性が強過ぎて投資家は動けない状態だと指摘しているという。

 麻生財務相は、それでも政府閉鎖はまだ連邦職員にしか影響がないのに対し、債務上限引き上げが失敗すれば、はるかに国際的影響が大きいとの見方を示した。米財務省は、そうなれば米国は手形支払いのための現金が不足し、2008年~2009年のような深い不況に急落する、と警告している。

【嫌味を返す麻生財務相】
 麻生財務相は来週、G20財務相会談のため訪米するが、そのときまでには膠着は解決しているだろうと自信を示している。

 しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これまで米国が日本の心配をする構図であったのが逆転したと評して、財務相からの嫌味ともとれる発言を伝えた。財務相は、米政府閉鎖と同日に安倍政権が消費税増税を決断した点に触れた。そのうえで、与野党の協力を背景に、財政を改善すべく、消費税率引き上げという有権者に不人気な決定をしたと述べた。さらに、米国を名指しはしなかったものの、「我々は、しなければならなかったことをしました。あなた方の国はどうでしょう?」と発言したという。

 黒田日銀総裁も同様に、感情的な睨み合いが解決しさえすれば、米国の景気回復を頓挫させずに済む、と語っている。ただしエコノミック・タイムズ紙(印)は、本当にデフォルトしたら日銀はどうするのかとの質問に、黒田総裁は答えなかったと指摘している。

Text by NewSphere 編集部