海外紙「日中関係、改善の兆し?」

 29日、外務省の斎木昭隆事務次官が北京を訪れた。外務次官クラスの訪中は、昨年10月以来となる。斎木氏は、2日間にわたり「広範な問題に関して意見交換するため」王毅外相らと会談した事を海外各紙は伝えている。

 中国メディアは、コメントなしで斎木氏の訪中を報道。中国外務省はサイト上で、日中関係に関して率直な意見を交換したと発表している。

【アベノミクスが、関係改善に寄与?】
 昨年9月に日本政府は尖閣諸島を国有化。中国はこれに強く反発し、サミットでの首脳会談を拒否するなど、緊張関係が続いていた。

 さらに、中国船が尖閣諸島沖を日常的に航海するようになった。今年始めには、中国海軍艦が海上自衛隊の護衛艦へ射撃レーダーを照射するなど、軍事的緊張も高まっている。

 また中国は、安倍首相を「ナショナリスト」だとして非難・警戒してきた。ただ、先の参院選で自民党が圧勝してからは、敵対的な論調が若干抑えられている。

 安倍氏が選挙後、経済政策に専念すると述べたことに対し、中国国営新華社通信は、珍しくこれを評価。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、両国がようやく関係修復に向けて動き出したと報じている。

【今後の日中関係は?】
 アメリカ、中国、及び日本の専門家は、今回の訪中を、両国にとって意義のある外交であったと見ているようだ。

 ただし、尖閣諸島について両国は妥協することが難しいとも指摘されている。中国清華大の教授は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の電話インタビューに対し、尖閣諸島の領有権について、中国と日本が話し合う必要があるとし、日本がこれを議題とすることを認めない限り、交渉の進展はないとの見方を示した。

 安倍首相は、そのような条件の受け入れを拒否し、「無条件」での首脳会談を希望する意向を示している。

 なおロイターは、中国は、日本の終戦記念日の8月15日に、安倍首相や閣僚が靖国参拝をするか注視する姿勢であると報じている。

Text by NewSphere 編集部