【日本、TPP参加】 海外紙が分析する、世界への影響とは?

 日米両政府は12日、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる事前協議を終え、日本が交渉参加することで合意した。米政府は米議会への90日間の通告期間を経て、正式に承認することになる。
 交渉参加11ヶ国のうち7ヶ国は、日本への支持を表明している。全11ヶ国が日本の参加に合意すれば、日本は7月にも交渉入りできる。残りのオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ペルーも近く支持するとみられる。
 安倍晋三首相は、この合意は経済・安全保障面に重大な影響があると述べた。その上で、「できるだけ早く正式に交渉参加し、最終合意に向けて日本主導で進めたい」と記者団に語った。
 日本が参加すれば、TPPは世界経済の40%を占める経済協定となる。
 海外各紙は、日米両国の反応と、経済への影響を分析した。

【米国側の反応】
 米通商代表部(USTR)のマランティス代表代行は12日、歓迎する声明を発表した。ただ、「非関税障壁などの二国間協議もTPP交渉と同時に終結させる必要がある」との考えを示した。
 反対の声は、特に米自動車業界から上がっている。そのため米政府は合意文書で、日本車の輸入関税撤廃に最長期間(およそ10年)かけ、輸入車の認証手続を簡略化する制度を利用して日本市場で米国輸入車の数を倍にする条項を取り付けたという。
 その他にも米保険会社に配慮し、日本郵政グループ傘下のかんぽ生命保険の新規事業を凍結するという約束を引き出した。

【日本国内の反応】
 安倍首相の決断は、日本の農家と、農家を重要な支持基盤としている多くの自民党議員を怒らせたとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。コメの関税は現在約800%に達しており、農業関係者は関税維持を求めている。
 一方、一般国民は協力的だと報じ、「TPP参加で日本の年間経済生産が0.5%上がる」というエコノミストの見解を掲載した。
 ブルームバーグは、TPP参加は安倍政権の景気回復を目指す「3本の矢」のうちの1つ、「長期成長戦略」に資すると報じた。
 経団連の米倉会長は、日米間の合意を歓迎するコメントを発表した。

【世界的な影響】
 韓国はTPP参加を検討中で、日本参加によってインドネシア、フィリピン、タイも考慮するかもしれないとブルームバーグは報じた。世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が行き詰まり、多くの国で保護主義が拡大する中、「競争の自由化」へ向かうこの新しい戦略を試す価値は十分にあると同紙は報じた。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米国のアジア重視の「リバランス」戦略にとって重要なステップだと報じた。

Text by NewSphere 編集部