安倍首相、初の日米首脳会談へ 日米の関係強化なるか?

 安倍首相は22日午後、オバマ大統領とホワイトハウスで初めての会談に臨む。オバマ政権誕生以来5人目の総理大臣となる安倍首相は、訪米直前、「日米同盟の絆が戻ったことを強く内外に示す会談にしたい」と並々ならぬ意欲を示した。それも当然で、尖閣問題で攻勢を強める中国、世界各国の声を無視して3回目の核実験を行った北朝鮮など、現在進行形の複数の火種を抱える日本にとっては、米国の後ろ盾を再確認する意義は計り知れないとされる。

 しかし、海外各紙は揃って、安倍政権の高い支持率や経済浮揚の兆しに注目しつつ、その熱烈なラブ・コールとは裏腹に、オバマ大統領に無条件の歓迎ムードはないと分析している。なかでも、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、大統領としては、長い経済低迷と政治的混乱によって東アジアでの影響力が低下した日本と、台頭する中国を秤にかけざるを得ないとした。昨年のアメリカの貿易総額で見ると、中国が14%を占めたのに対し、日本は5.7%に過ぎなかったと述べたうえ、国務長官就任への承認を受けるための公聴会で、政策を「中国重視にシフトする」と述べたケリー氏の発言は、日本に動揺をもたらしたと報じた。

 アメリカとしては、「日本はアメリカに何をもたらせるのか」を見据えている模様だという。主な懸案事項は、TPP、安全保障問題、基地問題とされる。

1.TPP
 安倍総理にとっては、米などの農業部門を「聖域」として関税撤廃の例外にするという交渉条件を背負っての渡米となる。7月に、安倍氏の長期政権化の試金石とも言える参院選を控え、無条件の参加確約の危険は犯せないと見られるためだ。しかし、フィナンシャル・タイムズ紙は、アメリカは、こうした「条件」を確約すれば、他の諸国から次々に要求が噴出する危険があるため、その可能性は薄いと分析した。

2.安全保障問題 
 軍事費削減を目指す第二期オバマ政権にとって、11年ぶりの防衛費増額を明言する安倍政権の方針は魅力でもある。ただし、中国、韓国など第二次世界大戦時の遺恨を抱えるアジア諸国の警戒感や、タカ派で知られ、従軍慰安婦問題や過去の謝罪の見直しなどを明言する安倍首相への各国の反感に、配慮せざるを得ないともされる。USAトゥデイ紙はこの点につき特に、アメリカの2人の下院議員が今週初め、慰安婦問題について安倍総理に対し、日本は「十分に認識し、謝罪し、歴史への見識を深める必要がある」との書簡を送ったと報じた。

3.基地問題
 両国間で何度も話し合いがもたれ、日本の政治の「無策」の象徴ともなっている未決事項だが、これも、沖縄県民の根強い反発からして、展開は期待できない模様だ。

 結局、日本の手土産は、第4の課題、国際結婚カップルの離婚について定めた「ハーグ条約」への批准のみとなる見込みだとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。

Text by NewSphere 編集部