安倍首相、沖縄訪問 各紙の普天間問題に対するスタンスの違いとは?

普天間基地

安倍首相、沖縄訪問 各紙の普天間問題に対するスタンスの違いとは? 安倍首相は2日、就任後初めて沖縄県を訪問し、那覇市内で仲井真知事と会談した。会談では、仲井真知事が米軍普天間飛行場の県外移設を要請。首相は「普天間の固定化はあってはならない。米国との合意の中で進めていきたい」と語った。日米合意の名護市辺野古への移設を念頭に置いた発言と見られる。ただ、移設に必要な県への埋め立て許可申請について、2月下旬の訪米前には「考えていない」と記者団に明言した。
 また首相は会談に先立ち、尖閣諸島周辺の防衛・警備にあたる、空自那覇基地や海上保安本部を訪問した。産経新聞の報道によると、自衛隊員約700人を前に「今、わが国固有の領土、領海、領空への挑発が続いている。私も諸君の先頭に立って、今そこにある危機に立ち向かう決意だ」と述べたという。

 各紙の記事・社説では、普天間移設問題について、「課題は何か?」「打ち手をどう評価するか?」「どんな提言をするか?」といった論点に対する姿勢の違いがみられる。

 課題について、朝日新聞は、沖縄の人々が本土の人々に「差別されている」実感だと指摘した。実際、先月末に沖縄の市町村長らが首相に渡した「建白書」にそうした表現がある。74%の米軍基地を引き受けている事実、普天間の移設が進まない中オスプレイが配備された事実が背景にあると指摘した。沖縄振興予算の増額や辺野古埋め立て申請の見送りなど、“首相なりの努力”は認めつつも、信頼回復に向けた首相の考えが見えないことを批判している。
 一方読売新聞は、普天間の辺野古への移設が進まない現状そのものを課題と考えているようだ。特に、今回首相が訪米前の埋め立て申請を見送ったことで、知事の判断が来年にずれ込み、移設先の名護市長選と重なる可能性が高くなり、移設がますます遅れることを懸念している。沖縄振興策拡充など首相の打ち手は評価しつつも、民主党政権では同様の施策を行なっても建前論に終始したことを指摘し、きちんと結果を出す事が必要と指摘した。“辺野古以外に現実的な普天間の移設先はない”ため、合意ができなければ、普天間の危険な現状が固定化するとも論じている。
 産経新聞も同様に、普天間の移設が進まず現状が固定化することをは危険であり、課題だと論じている。

 上記を踏まえ、各紙はどんな提言を行なっているのか。朝日新聞は、首相に対しては、沖縄の人々の声に耳を傾け応えること、そのうえで本土の人々に沖縄の現状を説明し負担の分かち合いを説くことを求めた。政権だけの問題ではなく、本土の人々が、どの地域も沖縄の負担を軽減する具体的な行動をとらない現実を直視すべきとも述べている。
 読売新聞は、移設推進を強く求める姿勢であり、そのために政府と沖縄県は“真剣に多角的な協議を尽くす必要がある”と述べている。さらに、96年以降、自民党が地元関係者と地道な対話を重ねて普天間移設への理解を広げた実績も挙げ、政府・与党一体となった努力を求めてもいる。
 産経新聞も、移設推進のため、首相に対しては沖縄への信頼関係構築の努力を、沖縄県知事に対しては“国民全体の平和と安全を守る大局的見地”に立った移設協力を、それぞれ求めた。その背景として、“中国の海洋権益拡大など安全保障環境の激変”を挙げ、対中抑止力向上のためにも、沖縄との信頼再構築、日米同盟の抑止態勢強化を図る必要があると主張している。

 総じて、日本の安全保障環境をめぐり、日中関係、日米関係、沖縄県の現状・・・といった中で、各紙がどの「現実」を重視するのか、が明確になった記事・社説だったといえる。

Text by NewSphere 編集部