自民安倍氏「デフレ脱却への第一手」に対する海外紙の評価は?

自民安倍氏「デフレ脱却への第一手」に対する海外紙の評価は? 衆院選で勝利した自民党の安倍晋三総裁は17日、日銀へ、現在の2倍となる2%のインフレ目標を求める発言をした。安倍氏は19日の金融政策決定会合に言及し、「金融政策が選挙結果への配慮に焦点を当てると言うのは、極めて異例。しかし、デフレ克服を求める強い国民の支持がある」旨発言した。また、「危機突破内閣」発足の意向や、大規模な補正予算を編成しての景気刺激について触れたと、フィナンシャル・タイムズ紙は報じた。金融緩和などによるデフレ脱却は、安倍氏と自民党の選挙公約であり、実現に向けて早々に第一手を打った形だ。なお、国会首班指名は12月26日に予定されている。

 またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、安倍氏が経済財政諮問会議を復活させる意向であることに注目した。同会議は、小泉内閣時代に郵政民営化などを実現した原動力でもあり、安倍氏は、「当会議こそマクロ経済政策の司令塔と思います」と発言していると報じた。安倍氏の経済顧問とされる高橋洋一氏や本田悦朗氏はこの意向を支持していることにも触れた。同会議には日銀総裁も出席するため、その席上で日銀への圧力が加えられ、日銀総裁はこれに抵抗できないであろうと示唆している。安倍氏は、日銀の独立性を保証した法律を見直すことも、4月の白川総裁の任期満了後に、もっと協力的な総裁を据えることもできるという背景がある。

 一方ニューヨーク・タイムズ紙は、一般消費者や小売業者の実態に焦点を当て、長年のデフレによってすでに習慣的に消費者の財布の紐は堅くなっており、金融緩和を約束したとしても、政権がこれを緩めさせるのは容易でないと評価した。給与増加が見込めない消費者は(たとえ見込めるとしても)、常に少しでも安い店を探し続けていると指摘。それに応じて店側も、吉野家などの牛丼戦争に代表されるように、ライバル店に先駆けた「消耗戦的」値下げ合戦を常態化させているという。同紙は、大半の消費者が20年近くにわたり家計消費を切り詰めようと考え続けているとのデータや、購買力が物価より速く落ちているとのデータを示し、日本には古典経済学の常識が通用しないと警告した。

Text by NewSphere 編集部