軽減税率見送り 際立つ読売新聞の怒り

 自民、公明両党は23日の税制協議会で、消費増税に伴う「軽減税率」について、2015年10月の10%への引き上げ時からの導入を目指すことで合意した。2014年4月の8%に引き上げる段階での導入は見送った。
 軽減税率に関しては、両党は導入が必要との認識で一致していた。しかし時期に関して、公明党が8%段階での導入を求める一方、自民党は反対。公明党側が当初の要求を諦め折り合った形だ。今後、対象品目や税率の設定、財源の確保策について話し合う「軽減税率制度調査委員会」を設置し、今年中に結論を出す。
 日本新聞協会は「軽減税率を求める声明」で、新聞への軽減税率適用を求めており、各紙の社説でも同様の主張は行われてきた。それだけに今回の見送り決定の扱いは大きく、各紙とも1面に掲載した。

 読売新聞は、最も紙面を割くとともに、(軽減税率対象として)「新聞・書籍の扱いも大きな焦点」とストレートに記載した。今回の見送りに対して、自民党が「事務作業の準備が間に合わない」として反対したにもかかわらず、低所得者への現金給付も作業量に差がないと指摘するなど批判的だ。現金給付を「ばらまき」とも批判している。一方、軽減税率導入による、制度の複雑化、利権構造への懸念、所得再分配効果が薄れることなど、様々な問題点については記載していない。
 なお今後の見通しとしては、対象品目、税率、財源、制度設計などの課題について、年末に「第2ラウンド」の協議が行われるだろうと報じた。

 朝日新聞は、事実と背景を報じた。読売報道と異なる点は、自民党が「消費税収が増えなくなるため」反対していると表現した点、10%での導入を「目指す」との記述は努力目標に過ぎず、実際に導入されるかどうかの判断は先送りされたという分析だ。

 産経新聞も事実と背景を報じた。消費税増税に伴い、低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」問題が生じることを指摘し、その対策として軽減税率や現金給付などの手法が検討されていると解説した。

Text by NewSphere 編集部