米大統領選、紙一重の大接戦 勝敗を分かつのは、期日前投票か?企業家か?それともハリケーンか?

 米大統領選もいよいよ終盤。6日の投票日を前に、両陣営はラストスパートに入った。半年以上の論戦を経て、両者の主張も政策も出尽くした感がある。支持率は、オバマ大統領がわずかにリードしているが、ほぼきっ抗状態。勝敗を分かつとされる激戦州のほとんどでほぼ互角だった。僅差を競う展開に、後は「票の取りこぼし」を避け、浮動票を取り込むことに両陣営とも懸命だ。オバマ大統領が4年間の成果を訴え、クリントン元大統領がその健闘ぶりを称えれば、ロムニー候補は「4年もあったのに何も変えられていない」と一刀両断。ロムニー候補が企業家の友を自認し、大統領の無理解をこきおろせば、オバマ氏は同氏が「切り捨てるべき」と言い放った自動車事業を救済した自分の功績を前面に押し出す。さながらシャドウボクシングのように、両陣営の激戦州行脚が続く。
 まさに1票を争う最後の調整が続くなか、決定的な「僅差」をつける因子として、海外各紙は期日前投票や企業家に焦点を当てた。

 まず第1の論点は、期日前投票だとされる。今回の期日前投票は、オバマ大統領の当選を後押しした前回をもしのぐ勢いだという。たとえばマイアミ市では、予想をはるかに上回る数千人が列を作り、予定終了時刻を3時間も延長する騒ぎになった。Financial TimesとThe New York Times(NYT)は、この動きを重視して、両陣営のせめぎあいに焦点を当てた。選挙のカギを握る大票田フロリダでは、民衆党に有利とされる時間帯の投票を共和党知事が拒否し、法廷闘争に発展。対してアイオワ州では、民主党が年輩の有権者に対し、期日前に家族分も投票するよう誘導したと共和党側が非難。NYTはこの状況を、有権者の不正を防ぐ構えの共和党と、投票権の抑圧に反発する民主党との対立と位置付けた。さらに、期日前投票での混乱ぶりを、選挙日当日の状況の試金石とし、当日の混乱を警戒した。

 第2の論点は企業家の支持だ。The Wall Street Journalは特にこの側面に焦点を当てた。ホワイトハウスの報道官は、オバマ大統領が行ってきた規制政策の策定を「米国民の健康と安全のみならず、景気拡大と企業の負担軽減を目指した結果だ」と自負する。たしかに、オバマ政権は銀行システムの健全化など一定の成果を上げているが、「規制」を重荷に感じる企業家の反発を買っていると分析した。富裕層はロムニー氏支持に回っていると紹介しており、献金も共和党への提供が増えているとした。

 とはいえ、どの側面をとっても、先の見えない激戦であることは確か。Financial Times紙は、それを象徴する「ハリケーンにロムニー氏の勢いがそがれた」と語る共和党幹部の談を紹介。民主党側がこれを敗戦の言い訳だと非難しているとも載せ、わずかとはいえオバマ氏有利の風向きを示唆した。

Text by NewSphere 編集部