米国大統領選の行方―ハリケーンの影響や経済政策に注目―

201210_USAelection 6日の投票日が迫る、アメリカ大統領選挙。先日米東海岸を襲ったハリケーン「サンディ」により選挙活動も一時自粛されていたが、両候補とも、1票でも多くの票を得るための活動を再開している。過去の討論会結果はロムニー氏が若干優勢だったが、災害対応の的確さが評価されたオバマ大統領の支持率も向上し、現在はほぼ互角の戦いを繰り広げている。激戦区の「スウィング・ステート」ではオバマ氏が若干有利の調査も出てきている。

The New York Timesの報道姿勢―ハリケーン被害と大統領選への影響―
 大統領選関連の直近のトピック・情勢を紹介した。
 オバマ大統領がハリケーンへの緊急対応にあたり、「災害にあたっては共和党も民主党もなく、アメリカは一つにまとまる」旨を述べた。実際、共和党のニュージャージー州知事や、中立派のニューヨーク市長も、オバマ大統領の対応は賞賛していると報じた。
 終盤の選挙活動となり、両候補の主張のポイントは絞られてきたという。オバマ氏は中流層を守ること、ロムニー氏は経済を回復させることを主張していると紹介。ロムニー氏はオバマ氏の実績が芳しくないことを攻撃し、ビジネスを成功させてきた自分ならできると自信をのぞかせているという。また、日本時間3日に発表される10月の失業率が改善していればオバマ氏に追い風、悪化していればロムニー氏にとって有利となると予測している。

Financial Timesの報道姿勢―両候補の経済政策を比較―
 両候補とも、税制や長期的な経済成長策は語っても、雇用・経済回復の具体的な案にはあまりふれていないと指摘。それぞれの主張の行間を読み、当選時の経済政策の変化を予測した。
 オバマ氏の政策は、教育・研究など長期的な投資を重視し、そのためにも富裕層を中心とした増税を行う方針だと分析。さらに、中間層向けの給与税減税延長や企業向け減税などによる、雇用対策実現の可能性があるとした。ただ、これは在任中に法案を提出したものの議会の反対で実現していないため、リスクも大きいと指摘した。
 一方ロムニー氏は、減税と歳出削減により、企業活動を促進する方針だと分析。短期的なプランを明らかにしていないが、現在の不況が構造的なもののため、税・歳出などを改革し長期的に回復を図る姿勢だとした。

The Wall Street Journalの報道姿勢―ヒスパニック層の大統領選への影響力―
 大統領選の結果に強い影響を及ぼす、ヒスパニック層の動向に着目した。
 ヒスパニック層は人口が増加しているとともに、激戦区「スウィング・ステート」であるネバダ・コロラド州に多いことから、影響力が増していると報じた。現在ヒスパニック層からの支持が厚いのはオバマ氏だ。ただ、以前提案していた移民法を実行していないなど、ヒスパニック層からの懸念も見られ支持率が低下傾向にあるという。ロムニー氏は、移民法などでヒスパニック層に対し厳しい立場をとっていたことから、支持率は20%ほどである。両候補とも新たな支持者を獲得しようと、今回が初めての投票となる有権者や、新しくアメリカ市民になった有権者に投票を呼びかけていることを取り上げた。

Text by NewSphere 編集部