米大統領選最終盤-ロムニー陣営の評判は?-

Colin_powell 11月6日の投票まで 2 週間を切り、両候補の政策が注目されている。特に、税制改革と外交問題に焦点が当てられ、各紙とも、ロムニー氏が提起している政策の評価について紙面を比較的大きく割いて掘り下げている。
 ロムニー氏に関する各界の評価は?

Financial Timesの報道姿勢―パウエル氏、ロムニー氏の外交政策を批判―
 コリン・パウエル元国務長官は25日、CBS ニュースの中で、共和党員でありながらロムニー氏を批判し、オバマ氏への支持を表明した。なお、パウエル氏は4年前にもオバマ氏を支持していた。
 パウエル氏は、ロムニー氏の外交政策が一定しないと指摘している。ある時はアフガニスタンに留まることを強く主張しながら、ある時は撤退に同意したというのだ。このような姿勢は外交を真剣に考えていない証だと批判した。同様の批判は共和党ブッシュ政権の担い手からも出ている。なおパウエル氏は、オバマ大統領がイラク戦争を終結させ、アフガン紛争を終わらせようとしていることについては評価している。
 パウエル氏の痛烈な批判は、以前ほどの影響力はないとはいえ、選挙に波紋を及ぼすと報じた。

The New York Times の報道姿勢―ロムニー氏の税制案を分析した研究センターに注目が集まる―
 米ワシントンに本拠を置く無党派の研究センター Tax Policy Center(税政策センター)は、8 月にロムニー氏の税制改革が不可能であると公表したが、現在この分析に注目が集まっている。それによると、富裕層への減税を実行しながらも中間層以下の税負担を増やさないというロムニー氏の改革案は実行不可能であるという。これに対して、ロムニー氏は「ガラクタを集めてガラクタを作ったにすぎない」と批判しているが、同センターは納税申告書などの詳細なデータに基づく正確なものであると反論した。また、様々な立場のエコノミストたちは、この分析に説得力があると考えている。
 研究センターの分析がきっかけとなりロムニー氏の税制改革が批判的に捉えられている情勢を報道している。

The Wall Street Journalの報道姿勢―税制改革の本質的な問題とは―
 選挙戦は最終盤に入ったが、税制改革の議論には問題が潜んでいると指摘した。
 第一に、「税制改革による支出」である。たとえばロムニー氏は、項目別控除を 17,000 ドルないしは 25,000 ドルに制限することを提起しているが、それによって増える歳入を減税という税制改革にともなう損失を相殺するために支出する意向をもっている。第二に、どのような立場を取るにしても、税制改革にはトレードオフが付きものであるということだ。この問題は、前述の税政策センターによる厳密な調査によって注目された。控除と税率、税率と経済成長、給与所得の税率と配当金およびキャピタルゲインの税率は、互いにトレードオフの関係となっていることに留意すべきだ。

Text by NewSphere 編集部