オバマvsロムニー オバマ優勢への各国の反応は?

 23日(日本時間)、最後の大統領候補討論会が行われた。11月6日の投票日まで残り約2週間、接戦が続き最後まで目が離せない。

1.評価
 第1回討論会はロムニー氏が圧倒したものの、第2回討論会はオバマ氏が巻き返し互角の情勢だった。今回の討論もほぼ互角の内容で、CNNが「勝利した候補」について調査したところ、オバマ氏48%、ロムニー氏40%という結果となった。
 なお、今回の討論会は主に外交政策を議論する場だったが、両候補は内政へと論点を移す場面が多々あった。

2.各論点
<対中政策>
 中国については、両候補とも自国の産業、特に自動車産業を守るための政策を取っていくとしている。両候補は雇用の確保により経済回復を達成したいと考えている点では一致している。中国製タイヤが不当に安く輸入されている疑惑もあることから、懲罰性関税を課すなどして自国の労働者の職場を守っていく旨を主張した。

<対イラン政策>
 ロムニー氏は、核開発疑惑のあるイランに対するオバマ政権の姿勢は弱腰だとして、断固とした行動を主張した。一方オバマ氏は、ロムニー氏の主張では、イランとの戦争・軍事介入の危険性を高める結果になってしまうと反論した。

<対アラブ>
 アフガニスタンについては、ロムニー氏の意見が以前と変化した。両候補ともアフガニスタンに2014年以降も特別部隊を残すと同意をしていたが、ロムニー氏は全兵士を退却させるべきと主張した。
 また、現在1万超の兵士がイラクに駐留しているが、オバマ氏は駐留兵を減らす提案をしている。一方ロムニー氏は、平和を保つために必要な人数であると主張している。イラク駐留兵は、シリアを通じたイランへの兵器輸送を牽制すると予想されるためだ。

<総論:アメリカの役割>
 アメリカの世界での役割において、オバマ大統領は、外交よりまずは国内の立て直しに目むけることが重要とし、国内の経済回復・失業率低下などの安定化を図ったうえで、外交へ力を入れることができると主張した。一方ロムニー氏は、国防の強化・軍事力の維持により、アメリカが世界各国にとってのリーダーであるべきで、これは国民を守ることにつながると主張した。

3.各国の反応
 中国のメディアは強気の姿勢を見せた。中国語版の新聞ではそもそもほとんど取り扱っていないが、英字新聞では、「両候補とも中国を誹謗しているが、米国の圧力はあまり中国経済に影響が出ない」旨を報じている。さらに、いまや両国の経済関係は非常に重要なため、今は中国に対する強硬な姿勢を示す両候補とも、大統領になれば、中国との関係に頭を悩ます結果になるであろうという報道もしている。
 イランでは報道制限があるため、この討論会の報道も規制をかけられている。ただ、自国にとってどちらが有利かという観点から、選挙結果への関心は高い。ロムニー氏の方が外交に経験がないのでイランにとって有利との意見もあれば、ロムニー氏は戦争も辞さない構えなのでオバマ氏の方が有利という意見もあるようだ。
 隣国シリアで内戦が続くトルコはジレンマを抱えている。トルコ政府は、アメリカの介入による早期内戦終決を望んでいるが、国民の57%は介入に反対という世論調査もある。さらにどちらにしても、アメリカとイスラエルの友好関係が深まる中、トルコが取り残されることを懸念する意見もあるようだ。
 イスラエルはイランの核問題でアメリカとの関係の悪化が懸念されている。討論会では、イスラエル・パレスチナの問題があまり話されていないことに、疑問の声も出てきている。

Text by NewSphere 編集部