一人っ子政策の歪み、結婚できない中国人男性 隣国から誘拐・人身売買も

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 中国は1979年から一人っ子政策を実施している。最近緩和されたものの、男の子を欲しがる親が圧倒的に多かったため、人口動態に深刻な変化をもたらした。2020年までには大量の男性結婚難民が出ると推定されており、外国人花嫁を斡旋する業者に頼る男性も少なくない。紹介される女性の中には、騙されたり誘拐されたりしたアジア人女性も含まれており、人身売買だと批判されている。

◆売れ残り男性激増。結婚は金次第
 人身売買と搾取についての特集をした英ガーディアン紙の記事は、中国では一人っ子政策により、女性がコモディティ化していると述べる。儒教の国であることから多くの家庭が男児を欲しがり、女児の堕胎や殺害が行われてきた。結果として男女比が大きく歪められ、2020年までには、結婚適齢期の男性人口が女性人口を少なくとも3000万人は上回ると予測されている。

 ディプロマット誌に寄稿したライターのユージーン・チョウ氏は、当然結婚市場は女性に有利だと解説する。中国では結婚に際し男性側から女性の家族に金銭を贈る習慣があるが、金額は上海で14万7000ドル(約1560万円)に上ることもあるという。北京では約3万ドル(約320万円)にマンション付きが平均で、地方の貴州省でも約1万3000ドル(約140万円)、陝西省でも1万4700ドル(約160万円)といずれも数年前と比べ増加している。

◆取り残された田舎の男性。嫁探しは業者頼み
 国内で結婚相手が見つからない男性は、花嫁を海外に求めるという。現在人気なのはウクライナで、経済状況が悪く美女が多いことから、中国紙「新京報」のお奨めになっているらしい。他の有望国として、韓国、日本、ロシアも上げられている(ディプロマット誌)。

 自力で海外で花嫁探しができる男性は良いが、貧しく教育のない男性には選択はほとんどないとチョウ氏は述べる。特に地方の農村部では、裕福な男性を求め女性が都市部に向かうため、後には独身男性ばかりが残されるという。結婚相手に支払う金の余裕もないため、これらの男性たちは斡旋業者を通じ、ベトナム、ラオス、カンボジアといった国々から花嫁を迎える。河南省山間部の寒村では、ベトナム人女性と結婚する費用は約3200ドル(約34万円)と、地元女性の4分の1で済むとチョウ氏は説明している。

Text by 山川 真智子