肥満大国アメリカで広がりをみせるソーダ税 その効果は如何に?

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 日本ではお目にかかれないような斬新な税制度がアメリカで導入され始めている。それは、砂糖がたっぷりと溶けている炭酸飲料に課税する「ソーダ税」だ。市民の肥満解消を名目としたこの政策は、現地でも議論を呼んでいる。

◆バークレー市の成功
 ガーディアン紙によると、アメリカで初めてソーダ税が導入されたのはカリフォルニア州のバークレー市だ。2015年3月からソーダ税が施行され、1オンスあたり1セントが課税される。1ドルのソーダ缶(12オンス)であれば12セント、2ドルの2リットルボトル(約68オンス)であれば68セントが課税されることになる。

 アメリカの非営利メディア『Plos Medicine』の研究によると、導入開始時の2015年3月からの1年間で、同市のソーダの消費量は9.6%減少し、その一方でソーダ税が導入されていない地域では6.9%もの上昇が見られた。またその代替として購入されたか否かは学術的に証明できないものの、同市でのボトルウォーターの売上は15.6%も上昇した。また、砂糖の入っていない紅茶や牛乳、フルーツジュースの売上は上昇したが、ダイエットドリンクやエナジードリンクの売上は減少したという。

 こうした商品間の売上の増減にも関わらず、小売店の平均的な売上には変化が見られなかったという。ソーダ税は、小売店の利益を一切損なわずに、市民をより健康的な飲料水へと誘導することのできる理想的な制度のように考えられる。

◆バークレー市の特殊性
 しかし、アメリカのその他の都市は、ソーダ税の導入によりバークレー市同様の成功を収めることができるとは信じていない。なぜならソーダ税の導入によって市民の意識変化に成功することができたバークレー市は、アメリカの平均的な都市像とは大きく乖離しているからだ。同市は富裕層が多く住み、教育水準も高く、もともとコーラなど砂糖の多く含まれる飲み物の売上が少ない地域であるとガーディアン紙は報じている。バークレー市に住む市民はたとえソーダ税が導入されても、生活に支障が出ない人が大半であり、導入することができた。

 一方で、アメリカの中でも平均所得が低い地域では、ソーダ税の対象となる炭酸飲料などの購買量が圧倒的に多く、市民の生活とソーダの関係は深い。ソーダ購入量が多い地域は肥満率も高く、バークレー市以上の効果がソーダ税適用によって現れることが期待されるが、抵抗勢力もそれだけ大きい。子供の肥満率が41%と高いフィラデルフィア州では、ソーダ税の導入について飲料メーカーが法廷で頑強に反対した。

◆ソーダ税は肥満解消の万能薬ではない
 アメリカの経済誌フォーブスは、ソーダ税のみに子供の肥満解消への期待を背負わせてはいけないと報じている。同誌は子供が太るのは、食事や運動不足など様々な原因が考えられ、ソーダ税はこうした多方面にわたる肥満の原因となるものへ取り組む第一歩に過ぎないとしている。また、ソーダ税自体が肥満率の減少に貢献しないかもしれない。値段を50%以上も釣り上げる飲料税が、実際は6.4%のカロリー減少しかもたらさないと、米飲料業協会(The American Beverage Association)による研究結果が報告されている。子供がソーダを飲まなくとも、ほかの不健康な食品を摂取すれば肥満解消の効果は望めない。肥満解消に向けてはより包括的な努力が必要なのかもしれない。

 独立行政法人の農畜産業振興機構によると、アメリカではバークレー市とフィラデルフィア市以外にアルバニー市(カリフォルニア州)で既にソーダ税が導入されており、その他にも4つの自治体で導入予定であると報告されている。日本はアメリカほどソーダによる肥満という問題は深刻ではないが、アメリカの取り組みが広がり、成功を収めると、日本にも導入がされる日が来るかもしれない。

photo CC0 Public Domain

Text by Yota Ozawa