「外国人」と働きたい人必読! 多文化な職場で気をつけたい4つのポイント

 海外から日本を訪れる人が年々増加し、街を歩くだけで容易にそのことに気づくだろう。観光客のみならず、長期滞在者も増えており、日本で就職活動をする人も多い。また、日本の企業も国際化を目指し、「外国人と働きたい」をキャッチフレーズに、海外にルーツをもつ人を積極的に採用する会社さえある。

 そういった状況にある現在、異文化コミュニケーションはもはや抽象的な概念ではなく、日常的に体験することになりつつある。単一民族国家と言われ続けている日本では、多文化・多言語の職場におけるコミュニケーションは容易なことではないだろう。常に多様性を意識して行動する必要があり、今まで当たり前と思い込んでいたことについても考えを改めざるをえないこともあるかもしれない。

 では、多文化職場においてうまくコミュニケーションを取るためにはどのようなことに気をつけたらよいのだろうか? 具体的な例を見てみよう。

◆「外人」というラベルは必要?
 悪意はなくても「外人」という言葉をつい使ってしまう人がいまだに多い。しかし、「外人」が差別用語であり、相手に不愉快な思いをさせることがある。また、差別用語ではないが「外国人」という言葉も「よそ者」という意味合いも含んでおり、時として、言われる側は「日本人以外の者」というラベルをつけられたような印象さえ受ける。

 職場で一緒に仕事しているチームの一員に対して「外から来ている」ということを主張する必要はない。「外国人と働きたい」というキャッチフレーズにしても、「違う文化にルーツをもっている人と働きたい」と意識しながらコミュニケーションを取ったほうがお互いに有意義な機会になるように感じる。

◆偏見が潜んでいる発言に注意が必要
 偏見は我々の意識に染み付いているため思わず言葉にしてしまうことがある。「イタリア人男性はナンパが上手」、「黒人はみんなラップが歌える」など、国籍によって決めつけることが、たとえ悪意がないとしても相手を傷つけてしまうことがある。

 多文化環境においてコミュニケーションを取る際には、自分のなかで「国籍」によってカテゴリーを作らず、意識的にステレオタイプ的な発言を避けることが重要である。「国民性」を問わず個々人の特長を発見することこそ、コミュニケーションの楽しみの一つではないだろうか。

◆日常会話に潜む強制的異性愛
 知り合ってまもなく相手に「結婚しているか」、あるいは「彼氏/彼女がいるか」と聞くことは珍しくない。しかし、ここにも配慮が必要だろう。つまり、強制的異性愛が潜んでいる発言に注意すべきということだ。性の多様性を意識しつつ、相手が「異性愛者」であると決め付けずに接したほうが有意義な会話になるのではないだろうか。

◆ユーモアのツボ
 ユーモアもコミュニケーションの一部であるが、文化によってユーモアのツボが違うため誤解が生じやすい。たとえ言語の壁がない者同士でもジョークが通じず、お互い笑っていても一方が「バカにされているのか?」と思い込んでしまうこともある。多文化の環境でコミュニケーションを取る際には特に、相手の顔色を伺いつつ、冗談は冗談であることを明確にすることで誤解を避けるようにしたほうがいいだろう。

 また、海外では国によって、皮肉や下ネタなど、日本ではなかなか通じないユーモアが一般的に使われていたりする。万一、相手の冗談に不愉快な思いをしてしまった場合は、怒らずに指摘してあげるといいだろう。異文化コミュニケーションは、一方的に相手に気を使うことではなく、相互に学び合うことなのである。

◆自分に中にある「壁」を乗り越える
 これまで述べてきたように、異文化コミュニケーションは容易なことではない。日本人同士のコミュニケーションと比べると、注意しないといけない点や気配りが求められる点も多く、よりエネルギーを必要とする。しかし例えそうであっても、多文化の環境において話し合い、知らないことにぶつかることによって、人は自分の中にある「壁」を乗り越えていくことができる。それこそが異文化コミュニケーションの最大の目的ではないだろうか。

Text by グアリーニ・レティツィア