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会田誠氏の安倍首相揶揄作品、欧米メディアも注目 海外で議論呼ぶのは政治より宗教?

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会田誠氏の安倍首相揶揄作品、欧米メディアも注目 海外で議論呼ぶのは政治より宗教?

 現代美術家の会田誠氏の作品に対し、東京都現代美術館が改変・撤去を要求している。問題視された作品は、教育のあり方について述べた「檄」と「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」の2点。日本のメディアの多くは「檄」を取り上げているが、海外メディアは「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」に注目している。

◆「子どもにふさわしくない」として改変を求める美術館
 改変要求があったのは、東京都現代美術館で7月18日から10月12日まで開催されている「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展で展示されている、会田誠氏の作品。同美術館は、「子どもにふさわしくない」として、作品の改変を求めたようだ。

 会田誠氏は、今回の展覧会には、妻で現代美術家の岡田裕子氏、長男の3人からなる「会田家」として参加している。その作品のうちの1つ「檄」は、白い布に筆で「文部科学省に物申す」と大きく書かれ、その横に「もっと教師を増やせ」「特別支援教育がただの隔離政策みたいになってる」など、現在の日本の教育体制に対する主張が記されている。

 「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」では、会田誠氏が扮する総理大臣がたどたどしい英語で演説しているもの。この作品の音声を消し日本語字幕を外すことも検討されているとのことだ(朝日新聞)。

◆安保法案を押し進める安倍首相を揶揄するビデオ作品
 日本のメディアでは主に「檄」が取り上げられ、「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」の扱いが小さいようだが、海外メディアではビデオがメインに取り上げられている。

 会田誠氏が扮する日本の首相は、「安倍晋三首相ではなく、あくまで架空の首相だという」(J-CASTニュース)とのことだが、海外メディアはあくまでも安倍氏を模したものとして伝えている。AFPは、「ビデオ作品は国粋主義者の総理大臣、安倍晋三氏を揶揄したもの」と伝えている。イギリスのインデペンデント紙も「会田氏の作品で直接の言及はないものの、安倍首相が押し進める安保法案について論じているので、作品が安倍首相をターゲットにしているのは明らかだ」と述べている。

 その上で、両メディアはビデオで行われているスピーチの内容を紹介している。それによれば、「We began imitating other powerful countries, we colonised those weaker nations surrounding us, and we began wars of aggression(意訳:他の列強国を真似て、私たちは近隣の弱い国々を植民地化し、侵略戦争を始めました)」「There were a great many people whom we insulted, and we wounded – and we killed… I am sorry!!!!(同:私たちは数多くの人たちを、侮辱し、傷つけ――殺しました……申し訳ございません!!!)」というものだ。

 またインデペンデント紙は、過去に禁止・検閲を受けた作品や攻撃的な作品を列挙している。挙げられた8作品のうち4作品が宗教をモチーフにしたもので、政治的な内容の作品は1つもない。

◆「欧米化」と「伝統」に分裂する日本を描いた作品
 アジア太平洋の政治・安保問題を扱うオンライン雑誌・ディプロマット誌は5月に、議論を呼ぶ作品を制作し続ける会田氏の単独インタビューを掲載し、会田氏の作品の裏側を明かした。

 会田氏は、社会学者の父と科学の教師だった母親に生まれ、小さい頃からクリエイティブの才能の片鱗を見せていたという。中学校時代にはすでに自分を「左派」と称し、第二次大戦における日本軍の残虐行為に関心を寄せていたそうだ。一方で、16歳の時には、三島由紀夫に続いてドストエフスキーの作品に傾倒。1970年代のマンガのニューウェイブの洗礼も受けていることを、同記事は記している。

 また、森美術館のチーフ・キュレーターである片岡真実氏のコメントを引用して、会田氏の作品は激動の20世紀を経験した日本の両義性を指摘している、としている。片岡氏の解説によると、日本の近代化は明治政府から始まり、富国強兵策の下に軍国化が進められ、第二次大戦に突き進み敗戦の苦酸を味わった。その後の戦後の復興、そしてバブル経済とその後の長引く不況を経る中で、日本は2つの背反する欲求「脱亜入欧」と「伝統への固執」に分裂してしまった、というのだ。

 記事は、会田氏の現在の日本に対する眼差しで締めくくられている。会田氏は、日本は物質的・経済的なレベルにおいては、1980年代のような”Japan as number one”を目指すのではなく、現在ある自分たちを受け入れ、バブル経済以前のようなシンプルな生活で生きる術を学ぶ必要があるのでは、と述べている。

(阿津坂光子)

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