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手こぎボートで太平洋横断の米女性冒険家、福島県沖で救助 6日目で断念の理由とは

  • カテゴリー:社会
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手こぎボートで太平洋横断の米女性冒険家、福島県沖で救助 6日目で断念の理由とは

 手こぎボートで単独太平洋横断を目指していたアメリカ人女性、ソーニャ・バームステインさん(30)が13日、福島県沖約250kmの海上で救援を要請し、近くを航行していたパナマ船籍の貨物船に救助された。その後海上保安庁の巡視船に引き渡され、15日に福島県の小名浜港に到着した。バームステインさんは、7日に日本の銚子港を出発。3ヶ月半ほどかけて無寄港で米・サンフランシスコにゴールする計画だった。しかし、日本の沿岸を出ることなく、わずか6日目でのリタイアとなってしまった。

◆悪天候と機材トラブルが重なる
 断念の理由は悪天候と機材トラブルだったようだ。バームステインさんのスポンサーでボートのコーチでもあるアンドリュー・カル氏が、冒険の公式サイト『Expedition Pacific』で経緯を説明している。同氏によれば、出発直後から連日強い向かい風と暴風でなかなか前に進むことができない日々が続き、この先はさらに天候の悪化が予想されていた。合わせて、ボートは予備の一つを残してドローグ(海錨)を失い、ステアリングシステムに「重大な故障」が発生していたという。

 バームステインさんの手こぎボートは、全長7m、重さ約300kgのカスタムメイドで、狭いながらも居住・物資保管スペースも備えている。船名の『Icha』は、沖縄方言の「いちゃりばちょーでー(行き会えば皆兄弟)」から取ったという。サポート船は同行せず、衛星電話でカル氏をはじめとするスタッフのアドバイスを受けていた。断念の決定は、スタッフとの長い議論の末に下された。カル氏は次のように記している。

「ソーニャと一部のメンバーは、何かがおかしいという虫の知らせのようなものを感じていた。我々のこれまでの冒険の経験では、この感覚が消えない時は要注意だ。海上保安庁の巡視エリアを出ようとしていた時、それはもっと強くなるばかりだった。さらに、今後の天候への不安と予備を一つ残して重要な装備を失ったことで、続行を勧めるのは無責任だと感じた」

◆交通事故でボート競技を断念、冒険家に
 これまでに手こぎボートで太平洋横断に成功したのは3例しかなく、女性の単独成功例はない。

 フロリダ州出身のバームステインさんは、高校の時にボート競技を始めたが、大学生の時に交通事故で大けがをして競技を断念。回復後に冒険家に転じ、2012年にカナリア諸島からバルバドスに向かう大西洋のボート旅のチームに参加したのを皮切りに、カヤックで米ワシントン州からアラスカに行き、スタンドアップパドルボードでベーリング海峡を渡った。自転車でメキシコ国境からシアトルに至る2900kmのアメリカ縦断の旅を成功させた事もある。

 太平洋横断は、「K12(7000m級のカラコルムの山)に無酸素で挑むようなものだ」と語っていたように、難しさは十分に認識していたようだ。今回は、出発前に「天候が許せば一日14時間から16時間、星空が広がる夜には流れる満点の星空と天の川を見ながら夜通し漕ぎたい」と意気込んでいた。しかし、そうした機会もなくあえなく早期リタイアとなってしまった。

◆2年前にはカナダ人女性が大西洋横断に成功
「準備期間に3年を費やした」といい、それを考え合わせても、9600kmの行程のほんの一部しか進めなかったのは、無残な結果と言わざるを得ないだろう。NASAの協力で海水サンプルを分析して気候変動の資料にする調査活動も予定していたが、これも実現させることができなかった。バームステインさんは今のところ、再チャレンジについてコメントしていない。テレビ朝日の報道によれば、救助した福島海上保安部は「再発防止」を指導したという。

 一方、2013年11月には、同じ北米出身の女性、カナダのミレーヌ・パケットさんが手こぎボートで大西洋横断に成功している。カナダ・ハリファックスから、フランス・ロリアンまでの5000kmを4ヶ月以上かけて渡った。悪天候により予定よりも2ヶ月以上遅れての到着だった。パケットさんによれば、大西洋も時に風速27mの風が吹き荒れ、波は最大12mにもなる厳しい環境だったという(ロイター)。

(Newsphere編集部)

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