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“非人道的”日本の死刑制度を人権団体批判 袴田元死刑囚の精神障害にも言及

  • カテゴリー:社会
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“非人道的”日本の死刑制度を人権団体批判 袴田元死刑囚の精神障害にも言及

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(AI)は1日、世界の昨年の死刑執行数・宣告数などをまとめた報告書を発表した。それによれば、昨年公式に記録された死刑執行数は、世界全体で607件で、前年の778件から22%減った。死刑宣告数は2466件で、これも335件の減少となった。しかし、AIは、中国、北朝鮮、シリアなど死刑の実態を公表していない国も多くあるとして、実際の数字はこれらを遥かに上回ると見ている。

 この発表を受け、主に死刑反対の立場を取る西欧メディアが、分析記事やアムネスティのメンバーの寄稿文を掲載している。ドイツ紙ドイチェ・ヴェレ(DW)は、日本を含むアジア太平洋諸国の実態を分析。インターナショナル・ビジネス・タイムズ(IBT)の英国版も、AIの調査員の論評を掲載し、日本や中国の状況に触れている。また、AIの公式HPは、冤罪の可能性が認められて昨年釈放された元死刑囚の袴田巌さんケースを取り上げている。

◆中国では他国の合計よりも多く執行か
 61ページに及ぶAIの報告書によれば、昨年の世界の上位死刑執行国はイラン(289・公式発表数)、サウジアラビア(最低90)、イラク(最低61)、アメリカ(35)だ。日本は3件と報告されている。しかし、DWは「これらの数字には、死刑に関するデータを国家機密扱いしている中国と北朝鮮が含まれていない」と注釈を加えている。中国では、その他の国の合計よりも多くの死刑が執行されていると言われており、昨年だけで2400人が処刑されたと見る調査機関もあるという。

 とはいえ、世界全体の死刑執行数・宣告数が減少傾向にあるのは間違いないようだ。AIの調査員チアラ・サンジョルジュ氏はIBTに寄せた論評で、「世界のほとんどは正しい方向に向かっている」と評価する。同氏によれば、国連が創設された1945年の時点で死刑を放棄したのは8ヶ国に過ぎなかったが、現在は140ヶ国にのぼる。「今回発表された数字には希望がある。しかし、まだ道のりは遠い」と同氏は記す。

 サンジョルジュ氏が最も懸念するのは、やはり、中国、北朝鮮などによる情報の隠蔽だ。同氏は、「無実の人が処刑されるのを防ぐため」にも、死刑に関するあらゆるプロセスの情報開示が必要だと訴える。また、日本についても、死刑囚に直前まで執行が知らされないことについて、「死刑囚は毎日、これが最後の日になるのではないかと怯えながら死の順番を待っている」と批判している。

◆ドイツ紙「アジアは死刑への依存度を増している」
 DWは、アジア太平洋地域の状況に絞った分析を加えている。同紙は、表に出ている数字こそ減少傾向にあるものの、中国などの存在に加え、インドネシアなど死刑を復活させた国もあることから、アジアは「死刑への依存度を増している」と論じる。

 AIの調査では、先に挙げたイランなどの世界上位国と中国、北朝鮮を除いたアジア太平洋地域の2014年の死刑執行数は、多い順にパキスタン(7)、アフガニスタン(6)、台湾(5)、ベトナム(最低3)、日本(3)、マレーシア(最低2)、シンガポール(2)となっている。同年の同地域の死刑宣告数は695件(17ヶ国)で、アフガニスタン、バングラデシュ、中国、北朝鮮、パキスタン、スリランカでは拷問などの非人道的行為によって強要した自白を基にした判決もあると、AIは指摘している。

 DWは「懸念される傾向」として、中国が新疆ウイグル自治区の“政治犯“をスタジアムに集めて何千人もの観衆の前で死刑宣告したケースを筆頭に、アジアでは死刑の政治利用が目立つと指摘している。例えば、麻薬の蔓延が社会問題になっているインドネシアは最近死刑を復活させ、麻薬取引に死刑を適用して今年既に6人が銃殺されている指摘する。現在も同国で刑の執行を待つ死刑囚には、外国人系の麻薬組織の構成員が多く、そこに含まれるオーストラリア、ブラジルなどとインドネシアの関係が悪化しているとも、DWは記す。また、同様にシンガポールとパキスタンも死刑を復活させ、パキスタンでは昨年12月以降、60人が処刑されたという。

◆日本の状況は袴田さん釈放後も「ほとんど変わっていない」
 AIの公式HPは、袴田巌さんの釈放(2014年3月27日)後の1年を振り返った日本人メンバーによる論説を掲載している。筆者の東アジア担当調査員、庄司洋加氏は、死刑に関連する日本の司法や拘置所の状況は1年間でほとんど変わっていないとし、「日本の司法にはまだ深い弱点があり、死刑の状況はいまだ非人道的だ」と批判している。

 同氏が特に強調するのは、袴田さんが45年以上にわたる拘置所生活で、精神を病んだ事だ。同氏によれば、袴田さんは死刑が確定した1980年から思考や態度に異常な兆候を見せ始め、その後担当弁護士もコミュニケーションを取ることが難しくなったという。長年袴田さんを支えている姉の秀子さんとの会話や彼女に宛てた手紙も「無秩序な思考を示した」と、庄司氏は書く。

 同氏は、日本では他にも勾留中に精神を病んだり、生まれつきの精神障害が悪化したケースがあると記す。そして、「国際法と世界の常識は、精神に障害を持つ者に死刑を用いてはならないという事を明確にしている」と主張し、「日本にはそれを防ぐセーフティネットがない」と批判する。その上で、「袴田さんらのメンタルヘルスに大きなダメージを与えた拘置所の環境」は、「変わっていない」としている。

(Newsphere編集部)

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